【中華そば六感堂】第3食 “頂を目指す人”と”落ちぶれて行く人”と”モノ乞い”のコントラスト 2021/12/25
人の意識レベルがわかる事例
建物外装の高圧洗浄の警備。
警備経験として初めてのこと。
こちらの建物は平成元年に完成。
作業を見ながら、
「何年単位で建物の改修工事や洗浄をやるものなの?」
と監督に質問してみたら
「12年を目処にしています」
そこで
「うちの自宅がそろそろ15年経つのですが、目地が劣化しているから、リフォームした方がいいのかな」
と聞いたら、やはり、修繕すべきとの回答だった。
「折角ローン完済し終えたのに、足場組んだりするから100万円くらいかかるみたい」
「え?」
ここで監督が食いついてきた。
「私は35年ですよ…(15年なんて短期間のローンがあるんですか?)」
途方に暮れるような表情。
監督は30代半ばの既婚者だ。
続けて
「(松本さんは)これまでの警備員のイメージとは全く違う雰囲気の人だと思ったら…」
「同僚の中でも一番上のランクにいるでしょ?」
そして、かなりしつこく聞かれたのは
「その若さでローン完済して、やっぱり見えてくるものとか、人生観とか変わりましたか?」
オレは
「監督は、ご自身がローン完済したら、人生観が変わると思って家を所有しているんですね?」
「ローンは責任が重いからたいへんですよね?」
と問いかけた上で
オレは次のように回答した。
「人生観はめちゃくちゃ変わりましたよ」
「追いたてるものがなくなりました」
「余裕が生まれます」
監督は、特に”余裕”という言葉を羨ましそうにしていた。そして、
「貯金が貯まる一方ですね?」
「そんなに働かなくてもいいんじゃないですか?」
「社労士、警備員ともに、生活のためとか、お金のためにはやっていない」
「完済前まで持っていた使命感や責任感を持続している」
「特に警備員は社労士よりもやりがいがある(具体的に、ホワイトカラーとブルーカラーの違い、隊長職のやりがいを説明して)」
監督の人間性を知る上で、最も端的な言葉は、監督が何度も聞いてきた以下の質問だ。
「その若さでローン完済して、やっぱり見えてくるものとか、人生観とか変わりましたか?」
彼は意識が高い。
あの質問は”頂”を夢見ている証拠だ。
仕事への意識、出世意識、上を目指す人だ。
また、それだけローンがたいへんなのだ。
警備員なんて、老若男女問わず、マイホームやらローン完済と聞いても驚きもしない。
何もピーンとこないバカだらけだ。
回転操業でチマチマした日銭を稼いでいるライフステージのくせに、自惚れだけは一人前。
自らのみすぼらしさを気にしないで、武勇伝を吠えたり、女を飯に誘ったりして。
しかも、警備員の仕事もろくにできないくせに、自分が大物と思い込んでいて…
そんなクズばかりだ。
監督と、警備員のジジイや詐欺師や借金漬けや淫行男女を比較してみなよ。
残念だが、オレは警備員とは、仕事を離れてまで仲良くしたくない。
仕事のときは「仕事だから」と割り切っている。
大手企業経験者だって、警備員になると、過去の栄光を圧し殺して、再生を断念し、甲斐性なしの人生を甘んじて受け入れている連中ばかりだ。
反骨精神とか、気概とか、ネバーギブアップとか、そーいうことを忘れてしまう。
根気の続かない奴ばかり。
ただの怠け者だ。
オレは思う。
今の境遇になるべくして、会社を辞めて(自己都合・解雇を問わない)警備員になり、これからどんどん落ちぶれて行くのだろう。