差し入れ

オレがレントゲン車の見張りをしている最中、目の前にあるマルエツに、自転車に乗った「SSS」ロゴの警備員がやって来た。
今や、うちより給与額が高い警備会社だ。

オレを気にしているのがわかった。
申し訳ないが、オレは警備員とは話したくないから、気づかないふりをした。

買い物を終えて店から出て来た。
やはり、こちらを気にしている。

そっぽを向いていたら、オレの方に歩いてきて「熱中症気を付けてね！」と、飲料を差し入れしてくれた。

話してみると、フランクな方。
彼の名前と、サンエスのどちらの支社に在籍しているか聞いた。

「池袋です」

オレは「高橋識行ってご存知ですか？」

彼は「知ってる、知ってる！一度だけ一緒にしたことがありますよ」

「2017年のことで、もう５年も前だけど、彼がオレの警備員の師匠で、９か月、彼の世話になって。警備員としての能力はとても聡明だ。今も連絡をとるよ」

彼が「うちに移籍してよ！高橋さんと合流したらどう？」って。

彼がいなくなり、直ぐに、サンエス警備保障株式会社池袋支社に電話した。

指令室の担当に「お伝えしたいことがある」と話して、差し入れをしてくれた彼にお礼を伝えていただくようお願いした。

指令室の方も、とても丁寧にお相手して下さった。
識行のことも認知しており、「警備能力は極めて優秀なので、彼のことを宜しくお願いします」と話して電話を締めくくった。