【労働基準法第38条の4】テレワークと企画業務型裁量労働制について【ワークライフバランス】 2014/10/23
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【アルバム】社会保険労務士 松本祐徳 メディア実績(2013~)
著書『図解とQ&Aですっきりわかるマイナンバーのしくみ』(宝島社)=33,000部=トーハン調べ2015/11/4週間ベストセラー単行本ビジネス書6位
共著『入門 マイナンバーの落とし穴ー日本一わかりやすい解説』(毎日新聞出版)=10,000部
『週刊エコノミスト 2018年7月17日号』(毎日新聞出版)2018年7月9日発売「特集:変わる!労働法」最大枠2テーマ3頁寄稿
#週刊エコノミスト 7月17日号「変わる!労働法」では、社会保険労務士の松本祐徳氏が、残業代などの算定基礎に加えなくてよいと思いがちの #手当 の誤解を分かりやすく説明しています。 pic.twitter.com/D1ald91mop
— 週刊エコノミスト編集部 (@EconomistWeekly) 2018年7月9日
『週刊エコノミスト 2018年2月20日号』(毎日新聞出版)2018年2月13日発売「特集:みんなの労働法」最大枠2テーマ5頁寄稿
未払い賃金などの賃金債権の時効はこれまで2年でしたが、今後延長されるかもしれません。そうなれば請求金額は膨大に。会社の経営を直撃するかもしれません。https://t.co/G5uKKZ1sqH pic.twitter.com/V9mqUmuiVQ
— 週刊エコノミスト編集部 (@EconomistWeekly) 2018年2月15日
『週刊エコノミスト 2015年9月15日特大号』(毎日新聞出版)2015年9月7日発売「特集:マイナンバーがやって来る!」最大枠5頁寄稿
講演
東京都知事小池百合子さんにテレビで紹介されました!
テレワークと併用可能な制度として、企画業務型裁量労働制に関する法律と留意点について触れておきます。
企画業務型裁量労働制は、労使委員会の設置と運営に関する理解、対象業務となり得る業務となり得ない業務への理解、対象業務を適切に遂行するための知識、経験等を有する労働者の選定に関する理解等、実際に制度を採用することとした場合には、多くの注意事項があります。
詳細は、具体的な例示や注意事項とともに、東京労働局・労働基準監督署「『企画業務型裁量労働制』の適正な導入のために」にわかりやすく述べられています。
http://tokyo-roudoukyoku.jsite.mhlw.go.jp/library/tokyo-roudoukyoku/jikanka/201221613571.pdf
【法律】
1.制度採用にあたり、労使委員会(賃金、労働時間その他の当該事業場における労働条件に関する事項を調査審議し、事業主に対し当該事項について意見を述べることを目的とする委員会(使用者及び当該事業場の労働者を代表する者を構成員とするものに限る。)が設置されていること
2.労使委員会がその委員の5分の4以上の多数による議決により次に掲げる事項に関する決議をし、かつ、使用者が、当該決議を様式第13号の2により、所轄労働基準監督署長に届け出ること
①事業の運営に関する事項についての企画、立案、調査及び分析の業務であって、当該
業務の性質上これを適切に遂行するにはその遂行の方法を大幅に労働者の裁量にゆだ
ねる必要があるため、当該業務の遂行の手段及び時間配分の決定等に関し使用者が具
体的な指示をしないこととする業務(以下「対象業務」という。)
②対象業務を適切に遂行するための知識、経験等を有する労働者であって、当該決議で
定める時間労働したものとみなされることとなるものの範囲
③対象業務に従事する労働者の労働時間として算定される時間
④対象業務に従事する労働者の労働時間の状況に応じた健康及び福祉を確保するための
措置を当該決議で定めるところにより使用者が講ずること。
⑤対象業務に従事する労働者からの苦情の処理に関する措置を当該決議で定めると
ころにより使用者が講ずること。
⑥使用者は、労働時間として算定される時間労働したものとみなすことについて当該労
働者の同意を得なければならないこと及び当該同意をしなかった当該労働者に対して
解雇その他不利益な取扱いをしてはならないこと。
⑦決議の有効期間の定め
⑧使用者は、次に掲げる事項に関する労働者ごとの記録を有効期間中及び当該有効
期間の満了後3年間保存すること。
・対象業務に従事する労働者の労働時間の状況並びに当該労働者の健康及び福祉を確
保するための措置として講じた措置
・対象業務に従事する労働者からの苦情の処理に関する措置として講じた措置
・対象業務に従事する労働者の同意
【留意点】
1.企画業務型裁量労働制を実施することができる事業場は、事業運営上の重要な決定が行われる本社、本店に限定されず、本社、本店である事業場の具体的な指示を受けることなく独自に、当該事業場に係る事業の運営に大きな影響を及ぼす事業計画や営業計画の決定を行っている支社、支店等である事業場も対象となる(平成15.10.22基発1022001号)
2.企画業務型裁量労働制の対象業務は、事業の運営に関する事項についての企画、立案、調査及び分析の業務であることを要するが、ここでいう「業務」とは、部署が所掌する業務ではなく、個々の労働者が使用者に遂行を命じられた業務をいう(平成12.1.1基発1号、平成15.12.26基発1226002号)
3.企画業務型裁量労働制については、法定休日に労働させた場合及び深夜業をさせた場合は、割増賃金を支払う必要があります。労使委員会による議決による決議で定めるべき時間は、対象業務に従事する労働者の労働時間として算定される時間であり、休憩、深夜業及び休日に関する規定の適用は排除されていません(平成12.1.1基発1号)
4.通常は非対象業務に従事している労働者が、特定の期間(決議の有効期間内である限り、当該期間に制限はない。)に限り対象業務に常態として従事することとなる場合はその期間について企画業務型裁量労働制を適用することができる。
5.派遣労働者に企画業務型裁量労働制は適用されません(平成12.3.28基発180号)
6.使用者は、企画業務型裁量労働制に係る労使委員会において、対象業務に従事する対象労働者の労働時間に応じた当該労働者の健康及び福祉を確保するための措置を決議するに当たっては、当該健康・福祉確保措置として、働き過ぎによる健康障害防止の観点から、必要に応じて、産業医等による助言及び指導を受け、又は対象労働者に産業医若しくは保健師による保健指導を受けさせること等が考えられることに留意することとされている(平成15.10.22厚労告353号、平成15.10.22基発1022001号)
7.企画業務型裁量労働制に係る労使委員会の決議事項については、具体的に明らかにする必要があり、例えば、苦情処理措置に関する事項について、決議で、苦情の申出の窓口及び担当者、取り扱う苦情の範囲、処理の手順及び方法等その具体的内容を明らかにしていない場合には、適正な決議がなされていないこととなり、決議全体が無効になる(平成12.3.28基発180号)
8.企画業務型裁量労働制に係る決議を行うことのできる労使委員会の委員の半数については、当該事業場の労働者の過半数で組織する労働組合(これがない場合は事業場の労働者の過半数を代表する者)に厚生労働省令で定めるところにより任期を定めて指名され、かつ、厚生労働省令で定めるところにより当該事業場の労働者の過半数の信任を得ている者でなければならない(平成11.1.29基発45号、平成15.12.26基発1226002号)
9.労使委員会の決議の届出をした使用者は、当該決議が行われた日から起算して6月以内ごとに1回、対象労働者の労働時間の状況並びに当該労働者の健康及び福祉を確保するための措置の実施状況について、所轄労働基準監督署長に報告しなければならない(則24条の2の5、則附則66条の2、平成12.1.1基発1号、平成15.12.26基発1226002号)