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【労働基準法第32条】労働時間 2016/03/31

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個人情報保護規程(マイナンバー法・ストレスチェック網羅版)
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1. 労働時間

(労働時間)

第32

使用者は、労働者に、休憩時間を除き1週間について40時間を超えて、労働させてはならない。

第2項

使用者は、1週間の各日については、労働者に、休憩時間を除き1日について8時間を超えて、労働させてはならない。

 

問1

1日6時間、週6日労働させることは、労働時間の原則を定めた労働基準法第32条の規定に反するものとなる。(H20-4B)

 

問2

労働基準法によれば、1日の法定労働時間は8時間とされているが、継続勤務が2暦日にわたる場合の労働については、当該勤務は始業時刻の属する日の労働として、当該日の「1日」の労働と解される。(なし)

 

問3

労働基準法においては、労働時間、休日、深夜業等について規定を設けていることから、使用者は、労働時間を適正に把握するなど労働時間を適切に管理する責務を有していることは明らかである。(H17-7D)

 

問4

労働時間は、一般的に、使用者の指揮監督のもとにある時間をいい、必ずしも現実に精神又は肉体を活動させていることを要件とはしないが、例えば、貨物の取扱いの事業場において、貨物の積込係が貨物自動車の到着を待って身体を休めている場合などのいわゆる手待時間は休憩時間と解され、労働時間には含めないものとされている。(なし)

 

問5

労働者が、就業を命じられた業務の準備行為等を事業所内において行うことを使用者から義務付けられ、又はこれを余儀なくされたときは、当該行為を所定労働時間外において行うものとされている場合であっても、当該行為は、特段の事情のない限り、使用者の指揮命令下に置かれたものと評価することができ、当該行為に要した時間は、それが社会通念上必要と認められるものである限り、労働基準法上の労働時間に該当すると解されるとする最高裁の判例がある。(なし)

 

問6

労働基準法第32条の労働時間とは、労働者が使用者の指揮命令下に置かれている時間をいい、この労働時間に該当するか否かは、労働者の行為が使用者の指揮命令下に置かれたものと評価することができるか否かにより客観的に定まるものであって、労働契約、就業規則、労働協約等の定めのいかんにより決定されるべきものではない。(H14-4A)

 

問7

労働基準法が規制対象とする労働時間とは、労働者が使用者の指揮命令下に置かれている時間をいい、その具体的な判断においては、労働契約、就業規則、労働協約等の定めに従い決定されるべきものであるとするのが最高裁判所の判例である。(H20-4A)

 

問8

労働基準法第32条の労働時間とは、労働者が使用者の指揮命令下に置かれている時間をいい、実作業に従事していない仮眠時間が労働基準法上の労働時間に該当するか否かは、労働者が実作業に従事していない仮眠時間において使用者の指揮命令下に置かれていたものと評価することができるか否かにより客観的に定まるものというべきであるとするのが最高裁判所の判例である。(H19-5B)

 

問9

使用者の具体的に指示した仕事が、客観的にみて正規の勤務時間内ではなされ得ないと認められる場合のように、超過勤務の黙示の指示によって法定労働時間を超えて勤務した場合には、その法定労働時間を超えて勤務した時間については時間外労働となる。(なし)

 

問10

訪問介護事業に使用される者であって、月、週又は日の所定労働時間が、一定期間ごとに作成される勤務表により非定型的に特定される短時間労働者が、事業場、集合場所、利用者宅の相互間を移動する時間については、使用者が、訪問介護の業務に従事するため必要な移動を命じ、当該時間の自由利用が労働者に保障されていないと認められる場合には、労働時間に該当する。(H19-5A)

 

問11

労働者一般に対して行われる一般健康診断に要する時間は、労働時間として取扱わなくてもよい。(S62-3E)

解答

問1 × 法32条

問2 ○ 法32条2項、昭和63.1.1基発1号

2暦日にわたる一勤務については、継続勤務はたとえ暦日を異にする場合でも一勤務として取り扱うべきものであるから始業時刻の属する日の労働として、当該日の1日の労働と解される。

問3 ○ 法32条、平成13.4.6基発339号

具体的に使用者が講ずるべき措置は、「労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関する基準について」により通知されている。

問4 × 法32条、昭和22.9.13基発17号、昭和33.10.11基収6286号

手待時間は労働時間として扱われるため、その時間は労働時間に含めなければならない。

問5 ○ 法32条、最一小平成12.3.9(三菱重工業長崎造船事件)

労働者が始業時刻前及び終業時刻後の作業服及び保護具等の着脱等並びに始業時刻前の副資材等の受出し及び散水に要した時間が労働基準法上の労働時間に該当する。

問6 ○ 法32条、最一小平成12.3.9(三菱重工業長崎造船事件)

労働時間に該当するか否かは、労働者の行為が使用者の指揮命令下に置かれたものと評価することができるか否かにより客観的に定まるものであって、労働契約、就業規則、労働協約等の定めの如何により決定されるべきものではないとするのが最高裁の判例である。

問7 × 法32条、最一小平成12.3.9(三菱重工業長崎造船事件)

問8 ○ 法32条、最一小平成14.2.28(大星ビル管理事件)

ビル管理会社である控訴人会社の技術系従業員らが、24時間勤務の間に設定されている仮眠時間も会社の労働協約、就業規則にいう労働時間であるとして、労働協約、就業規則に基づき、仮眠時間に対する所定時間外勤務手当と深夜就業手当を請求した裁判において、最高裁判所は「労働基準法32条の労働時間とは、労働者が使用者の指揮命令下に置かれている時間をいい、実作業に従事していない仮眠時間(以下「不活動仮眠時間」という。)が労基法上の労働時間に該当するか否かは、労働者が不活動仮眠時間において使用者の指揮命令下に置かれていたものと評価することができるか否かにより客観的に定まるものというべきである。そして、不活動仮眠時間において、労働者が実作業に従事していないというだけでは、使用者の指揮命令下から離脱しているということはできず、当該時間に労働者が労働から離れることを保障されていて初めて、労働者が使用者の指揮命令下に置かれていないものと評価することができる。」と判断した。

問9 ○ 法32条2項、昭和25.9.14基収2983号

問10 ○ 法32条、平成16.8.27基発0827001号

訪問介護事業においては、非定型的パートタイムヘルパー等(短時間労働者であって、月、週又は日の所定労働時間が、一定期間ごとに作成される勤務表により、非定型的に特定される労働者)が訪問介護の業務に直接従事する時間以外の時間を労働時間としていないものが認められるところであるが、訪問介護労働者の移動時間については、設問の通り、適正にこれを把握する必要があることとされている。

なお、訪問介護事業においては、訪問介護の業務に直接従事する時間以外の労働時間である移動時間等について、賃金支払の対象としているのかどうかが判然としないものが認められるところであるが、賃金はいかなる労働時間についても支払われなければならないものであるので、労働時間に応じた賃金の算定を行う場合は、訪問介護の業務に直接従事する時間のみならず、上記の労働時間を算定した時間数に応じた賃金の算定を行うこととされている。

問11 ○ 法32条、昭和47.9.18基発602号