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【個人情報保護法第2条第3項・令第2条】要配慮個人情報 2017/01/03

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著書『図解とQ&Aですっきりわかるマイナンバーのしくみ』(宝島社)=33,000部=トーハン調べ2015/11/4週間ベストセラー単行本ビジネス書6位
共著『入門 マイナンバーの落とし穴ー日本一わかりやすい解説』(毎日新聞出版)=7,000部
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3. 要配慮個人情報(センシティブ情報)

 

保護法第2条第3項この法律において「要配慮個人情報」とは、本人の人種、信条、社会的身分、病歴、犯罪の経歴、犯罪により害を被った事実その他本人に対する不当な差別、偏見その他の不利益が生じないようにその取扱いに特に配慮を要するものとして政令で定める記述等が含まれる個人情報をいう。

 

背景【平成28年6月3日第10回委員会検討過程】

本人に対する不当な差別又は偏見が生じないようにその取扱いについて特に配慮を要する記述等が含まれる機微な個人情報(センシティブ個人情報)については、本人同意を得ない取得を原則として禁止するとともに、本人同意を得ない第三者提供の特例の対象から除外することを目的として、平成27年法律第65号第2条により新設された。

なお、政令の検討に当たっては、 他の法令規定 、我が国における社会通念等を参考に、差別や偏を生じるおそれの有無等を勘案してその範囲を定め、 医療現場等における従前からの運用と齟齬が生じ混乱が生じることのないよう留意された。

 

要配慮個人情報【第2条第3項、令第2条、平成28年委員会告示第6号】

① 人種【第2条第3項、平成28年委員会告示第6号】
人種、世系又は民族的若しくは種族的出身を広く意味する。なお、単純な国籍や「外国人」という情報は法的地位であり、それだけでは人種には含まない。また、肌の色は、人種を推知させる情報にすぎないため、人種には含まない。

 

② 信条【第2条第3項、平成28年委員会告示第6号】
個人の基本的なものの見方、考え方を意味し、思想と信仰の双方を含むものである。

 

③ 社会的身分【第2条第3項、平成28年委員会告示第6号】
ある個人にその境遇として固着していて、一生の間、自らの力によって容易にそれから簡単に脱し得ないような地位を意味し、単なる職業的地位や学歴は含まない。(例:同和地区出身)

 

④ 病歴【第2条第3項、平成28年委員会告示第6号】
病気に罹患した経歴を意味するもので、特定の病歴を示した部分(例:特定の個人ががんに罹患している、統合失調症を患っている等)が該当する。

 

⑤ 犯罪の経歴【第2条第3項、平成28年委員会告示第6号】
前科、すなわち有罪の判決を受けこれが確定した事実が該当する。

 

⑥ 犯罪により害を被った事実【第2条第3項、平成28年委員会告示第6号】
身体的被害、精神的被害及び金銭的被害の別を問わず、犯罪の被害を受けた事実を意味する。

 

⑦ 身体障害、知的障害、精神障害(発達障害を含む。)その他の個人情報保護委員会規則で定める心身の機能の障害があること(過去にあったことを特定させる情報(例:障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律に基づく障害福祉サービスを受けていること又は過去に受けていたこと)を含む。)【第2条第3項、令第2条第1号、平成28年委員会告示第6号】

 

イ 身体障害者福祉法別表に掲げる身体上の障害があることを特定させる情報【令第2条第1号、則第5条第1号、平成28年委員会告示第6号】
(1) 医師又は身体障害者更生相談所により、別表に掲げる身体上の障害があることを診断又は判定されたこと(別表上の障害の名称や程度に関する情報を含む。)
(2) 都道府県知事、指定都市の長又は中核市の長から身体障害者手帳の交付を受け並びに所持していること又は過去に所持していたこと(別表上の障害の名称や程度に関する情報を含む。)
(3) 本人の外見上明らかに別表に掲げる身体上の障害があること

 

ロ 知的障害者福祉法にいう知的障害があることを特定させる情報【令第2条第1号、則第5条第2号、平成28年委員会告示第6号】
(1) 医師、児童相談所、知的障害者更生相談所、精神保健福祉センター、障害者職業センターにより、知的障害があると診断又は判定されたこと(障害の程度に関する情報を含む。)
(2) 都道府県知事又は指定都市の長から療育手帳の交付を受け並びに所持していること又は過去に所持していたこと(障害の程度に関する情報を含む。)

 

ハ 精神保健及び精神障害者福祉に関する法律にいう精神障害(発達障害者支援法第2条第2項に規定する発達障害を含み、知的障害を除く。)があることを特定させる情報【令第2条第1号、則第5条第3号、平成28年委員会告示第1号】
(1) 医師又は精神保健福祉センターにより精神障害や発達障害があると診断又は判定されたこと(障害の程度に関する情報を含む。)
(2) 都道府県知事又は指定都市の長から精神障害者保健福祉手帳の交付を受け並びに所持していること又は過去に所持していたこと(障害の程度に関する情報を含む。)

 

ニ 治療方法が確立していない疾病その他の特殊の疾病であって障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律第4条第1項の政令で定めるものによる障害の程度が同項の厚生労働大臣が定める程度であるものがあることを特定させる情報【令第2条第1号、則第5条第4号、平成28年委員会告示第6号】
医師により、厚生労働大臣が定める特殊の疾病による障害により継続的に日常生活又は社会生活に相当な制限を受けていると診断されたこと(疾病の名称や程度に関する情報を含む。)

 

⑧ 本人に対して医師その他医療に関連する職務に従事する者により行われた疾病の予防及び早期発見のための健康診断その他の検査の結果【令第2条第2号、平成28年厚労省・経産省告示第2号、平成28年委員会告示第6号】
疾病の予防や早期発見を目的として行われた健康診査、健康診断、特定健康診査、健康測定、ストレスチェック、遺伝子検査(診療の過程で行われたものを除く。)等、受診者本人の健康状態が判明する検査の結果が該当する。

 

【具体的な事例】
イ 労働安全衛生法に基づいて行われた健康診断の結果
ロ 同法に基づいて行われたストレスチェックの結果
ハ 高齢者の医療の確保に関する法律に基づいて行われた特定健康診査の結果
ニ 人間ドックなど保険者や事業主が任意で実施又は助成する検査の結果
ホ 医療機関を介さないで行われた遺伝子検査の結果のうち本人の遺伝型とその遺伝型の疾患へのかかりやすさに該当する結果

 

【該当しない事例】
イ 健康診断等を受診したという事実
ロ 身長、体重、血圧、脈拍、体温等の個人の健康に関する情報を、健康診断、診療等の事業及びそれに関する業務とは関係ない方法により知り得た場合

 

⑨ 健康診断その他の検査の結果に基づき、又は疾病、負傷その他の心身の変化を理由として、本人に対して医師その他医療に関連する職務に従事する者により心身の状態の改善のための指導又は診療若しくは調剤が行われたこと【令第2条第3号、平成28年厚労省・経産省告示第2号、平成28年委員会告示第6号】

 

イ 「健康診断等の結果に基づき、本人に対して医師等により心身の状態の改善のための指導が行われたこと」とは、健康診断等の結果、特に健康の保持に努める必要がある者に対し、医師又は保健師が行う保健指導等の内容が該当する。
【指導が行われたことの具体的な事例】
(1) 労働安全衛生法に基づき医師又は保健師により行われた保健指導の内容
(2) 同法に基づき医師により行われた面接指導の内容
(3) 高齢者の医療の確保に関する法律に基づき医師、保健師、管理栄養士により行われた特定保健指導の内容
(4) 保険者や事業主が任意で実施又は助成により受診した保健指導の内容
(5) 保健指導等を受けたという事実

 

ロ 「健康診断等の結果に基づき、又は疾病、負傷その他の心身の変化を理由として、本人に対して医師等により診療が行われたこと」とは、病院、診療所、その他の医療を提供する施設において診療の過程で、患者の身体の状況、病状、治療状況等について、医師、歯科医師、薬剤師、看護師その他の医療従事者が知り得た情報全てを指す。

【診療が行われたことの具体的な事例】
(1) 診療記録等
(2) 病院等を受診したという事実

 

ハ 「健康診断等の結果に基づき、又は疾病、負傷その他の心身の変化を理由として、本人に対して医師等により調剤が行われたこと」とは、病院、診療所、薬局、その他の医療を提供する施設において調剤の過程で患者の身体の状況、病状、治療状況等について、薬剤師(医師又は歯科医師が自己の処方箋により自ら調剤する場合を含む。)が知り得た情報全てを指す。

 

【調剤が行われたことの具体的な事例】
(1) 調剤録、薬剤服用歴、お薬手帳に記載された情報等
(2) 薬局等で調剤を受けたという事実

 

【該当しない事例】
身長、体重、血圧、脈拍、体温等の個人の健康に関する情報を、健康診断、診療等の事業及びそれに関する業務とは関係のない方法により知り得た場合

 

⑩ ゲノム情報
遺伝子検査により判明する情報のうち差別、 偏見につながり得るもの(例えば、将来発症し得る可能性のある病気、治療薬の選択に関する情報等)は、個人の現在の健康状態のみならず、将来発症する可能性や非保因者として子孫へ遺伝子変異を伝える可能性があることを勘案するもの。

 

⑪ 本人を被疑者又は被告人として、逮捕、捜索、差押え、勾留、公訴の提起その他の刑事事件に関する手続が行われたこと【令第2条第4号、平成28年委員会告示第6号】
本人を被疑者又は被告人として刑事事件に関する手続が行われたという事実が該当する。他人を被疑者とする犯罪捜査のために取調べを受けた事実や、証人として尋問を受けた事実に関する情報は、本人を被疑者又は被告人としていないことから、これには該当しない。

 

⑫ 本人を少年法第3条第1項に規定する少年又はその疑いのある者として、調査、観護の措置、審判、保護処分その他の少年の保護事件に関する手続が行われたこと【令第2条第5号、平成28年委員会告示第6号】
本人を非行少年又はその疑いのある者として、保護処分等の少年の保護事件に関する手続が行われたという事実が該当する。

 

 

平成27年法律第65号施行日

平成29年5月30日【平成27年法律第65号附則第1条本文、平成28年政令第385号】