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【個人情報保護法第7条・平成28年閣議決定】個人情報の保護に関する基本方針 2017/01/03

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個人情報保護規程(マイナンバー法・ストレスチェック網羅版)
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6. 個人情報の保護に関する基本方針

 

(個人情報の保護に関する基本方針)
保護法第7条第1項
政府は、個人情報の保護に関する施策の総合的かつ一体的な推進を図るため、個人情報の保護に関する基本方針(以下「基本方針」という。)を定めなければならない。保護法第7条第2項

基本方針は、次に掲げる事項について定めるものとする。

① 個人情報の保護に関する施策の推進に関する基本的な方向

② 国が講ずべき個人情報の保護のための措置に関する事項

③ 地方公共団体が講ずべき個人情報の保護のための措置に関する基本的な事項

④ 独立行政法人等が講ずべき個人情報の保護のための措置に関する基本的な事項

⑤ 地方独立行政法人が講ずべき個人情報の保護のための措置に関する基本的な事項

⑥ 個人情報取扱事業者及び匿名加工情報取扱事業者並びに第50条第1項に規定する認定個人情報保護団体が講ずべき個人情報の保護のための措置に関する基本的な事項

⑦ 個人情報の取扱いに関する苦情の円滑な処理に関する事項

⑧ その他個人情報の保護に関する施策の推進に関する重要事項

保護法第7条第3項

内閣総理大臣は、個人情報保護委員会が作成した基本方針の案について、閣議の決定を求めなければならない。

保護法第7条第4項

内閣総理大臣は、前項の規定による閣議の決定があったときは、遅滞なく、基本方針を公表しなければならない。

保護法第7条第5項

前2項の規定は、基本方針の変更について準用する。

 

政府は、個人情報の保護に関する施策の総合的かつ一体的な推進を図るため、次に掲げる事項について、個人情報の保護に関する基本方針(以下「基本方針」という。)を定めなければならない。

① 個人情報の保護に関する施策の推進に関する基本的な方向

② 国が講ずべき個人情報の保護のための措置に関する事項

③ 地方公共団体が講ずべき個人情報の保護のための措置に関する基本的な事項

④ 独立行政法人等が講ずべき個人情報の保護のための措置に関する基本的な事項

⑤ 地方独立行政法人が講ずべき個人情報の保護のための措置に関する基本的な事項

⑥ 個人情報取扱事業者及び匿名加工情報取扱事業者並びに第50条第1項に規定する認定個人情報保護団体が講ずべき個人情報の保護のための措置に関する基本的な事項

⑦ 個人情報の取扱いに関する苦情の円滑な処理に関する事項

⑧ その他個人情報の保護に関する施策の推進に関する重要事項

内閣総理大臣は、個人情報保護委員会が作成又は変更した基本方針の案について、閣議の決定を求めなければならないものとし、閣議の決定があったときは、遅滞なく、基本方針を公表しなければならない。

なお、平成27年法律第65号により保護法第7条第2項第6号と第3項が変更された。

 

基本方針【平成28年閣議決定】

個人情報の保護に関する基本方針
平成16年4月2日閣議決定平成20年4月25日一部変更平成21年9月1日一部変更

平成28年2月19日一部変更

平成28年10月28日一部変更

政府は、個人情報の保護に関する法律(平成15年法律第57号。以下「法」という。) 第7条第1項の規定に基づき、「個人情報の保護に関する基本方針」(以下「基本方針」という。)を策定する。基本方針は、個人情報の適正かつ効果的な活用が新たな産業の創出並びに活力ある経済社会及び豊かな国民生活の実現に資するものであることその他の個人情報の有用性に配慮しつつ、個人の権利利益を保護するという法の目的を実現するため、個人情報の保護に関する施策の推進の基本的な方向及び国が講ずべき措置を定めるとともに、地方公共団体、個人情報取扱事業者等が講ずべき措置の方向性を示すものであり、政府として、官民の幅広い主体が、この基本方針に則して、個人情報の保護及び適正かつ効果的な活用の促進のための具体的な実践に取り組むことを要請するものである。

 

個人情報の保護に関する施策の推進に関する基本的な方向

(1) 個人情報をめぐる状況

近年、情報通信技術の飛躍的な進展により、多種多様かつ膨大なデータ、いわゆるビッグデータの収集・分析が可能となり、このことが、新産業・新サービスの創出や我が国発のイノベーション創出に寄与するものと期待されている。特に、個人の行動・状態等に関する情報については、高度な情報通信技術を用いた方法により、個人の利益のみならず公益のために活用することが可能となってきており、その利用価値は高いとされている。

一方、個人情報及びプライバシーという概念が世の中に広く認識されるとともに、高度な情報通信技術の活用により自分の個人情報が悪用されるのではないか、これまで以上に十分な注意を払って個人情報を取り扱ってほしいなどの消費者の意識が高まっており、保護されるべき個人情報が適正に取り扱われ、消費者の安心・安全を確保することが求められている。

また、経済・社会活動のグローバル化及び情報通信技術の進展に伴い、個人情報を含むデータの国境を越えた流通が増えており、国際的にも個人情報を保護しつつ、円滑なデータ流通を確保することが求められている。

このような状況を踏まえ、個人情報の保護に関する法律及び行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律の一部を改正する法律(平成27年法律第65号。以下「改正法」という。)が平成27年9月3日に成立し、9月9日に公布され、個人情報の保護に関する独立した機関として、個人情報保護委員会が平成28年1月1日に設置された。

 

(2) 法の理念と制度の考え方

法第3条は、個人情報が個人の人格と密接な関連を有するものであり、個人が「個人として尊重される」ことを定めた憲法第13条の下、慎重に取り扱われるべきことを示すとともに、個人情報を取り扱う者は、その目的や態様を問わず、このような個人情報の性格と重要性を十分認識し、その適正な取扱いを図らなければならないとの基本理念を示している。国の行政機関、地方公共団体、事業者等の各主体においては、この基本理念を十分に踏まえるとともに、以下に掲げる制度の考え方を基に、法の目的を実現するため、個人情報の保護

及び適正かつ効果的な活用の促進に取り組む必要がある。

① 個人情報の保護と有用性への配慮

法は、経済・社会の情報化の進展に伴い個人情報の利用が拡大している中で、法第3条の基本理念に則し、プライバシーの保護を含めた個人の権利利益を保護することを目的としており、他方、情報通信技術の活用による個人情報の多様な利用が、個人のニーズの事業への的確な反映や迅速なサービス等の提供を実現し、事業活動等の面でも、国民生活の面でも欠かせないものとなっていることに配慮しているところである。

個人情報の保護と有用性に関するこの法の考え方は、実際の個人情報の取扱いにおいても、十分に踏まえる必要があり、個人情報の保護に関する施策を推進するに当たっては、個人情報の保護と適正かつ効果的な活用のバランスを考慮した取組が求められる。

② 法の正しい理解を促進するための取組

1の(2)の①の個人情報の保護と有用性に関する法の考え方が、実際の個人情報の取扱いにおいて十分に反映され、社会的な必要性があるにもかかわらず、法の定め以上に個人情報の提供を控えたり、運用上作成可能な名簿の作成を取りやめたりするようなことを防ぐためには、個人情報を取り扱う各主体及び個人情報によって識別される特定の個人(以下「本人」という。)の双方における法の正しい理解が不可欠である。

国は、事業者及び国民に対する広報・啓発に積極的に取り組むとともに、法の適切な運用等により、個人情報の保護及び適正かつ効果的な活用の促進を図っていくものとする。また、各地方公共団体においては、住民等へ周知するための積極的な広報活動に取り組むとともに、法の趣旨にのっとり、条例の整備及びその適切な解釈・運用を行うことが求められる。その際、改正法の施行により新たに法の適用対象となる、個人情報を取り扱う件数の少ない事業者に対しては、より丁寧な広報活動を行うことが求められる。

③ 各事業者の自律的な取組と各主体の連携

高度情報通信社会においては、業態業種を問わず、あらゆる分野において、情報通信技術を活用した大量かつ多様な個人情報が広く利用されるようになっている。このため、法は、個人情報を事業の用に供する者を広く対象として、個人情報の取扱いに関して共通する必要最小限のルールを定めるとともに、個人情報を取り扱う者において、それぞれの事業等の分野の実情に応じて、自律的に個人情報の適正な取扱いが確保されることを期待している。また、こうした事業者の自律的な取組に関しては、国の行政機関等の支援が重要であり、法

は、国が事業者等による取組への支援、苦情処理のための措置を講ずべきことを定めるとともに、個人情報保護委員会が、事業者における個人情報の取扱いについて監督する権限と責任を有する仕組みを採っているが、こうした複層的な措置の整合性を図りながら実効性を確保していくためには、事業者、地方公共団体、国の行政機関等が相協力し、連携を確保していくことが重要である。

 

(3) 国際的な協調

経済・社会活動のグローバル化及び情報通信技術の進展に伴い、個人情報を含むデータの国境を越えた流通が増えており、このような状況の変化に対応するため、経済協力開発機構(OECD)、アジア太平洋経済協力(APEC)等において、個人情報の保護に関する情報交換や越境執行協力等を目的とした国際的な枠組みが構築されている。

このような取組を踏まえ、国際的な協調を図っていくとともに、併せて我が国の法制度についても国際的な理解を求めていくことが重要である。

 

(4) 情報セキュリティ対策の取組

情報通信技術が、国民生活や事業活動、社会インフラ等のあらゆる領域において不可欠な基盤となっている一方、サイバー攻撃等が個人・組織の情報及び財産に重大な被害や影響を及ぼすなど、その脅威は年々高まってきている。

このような状況を踏まえ、個人情報の漏えいのリスクを軽減するためには、個人情報を取り扱う各主体が自ら進んでセキュリティに関する意識・リテラシーを高め、主体的に情報セキュリティ対策に取り組むことが重要である。

 

2 国が講ずべき個人情報の保護のための措置に関する事項

(1) 各行政機関の保有する個人情報の保護の推進

国の行政機関が保有する個人情報の保護については、行政機関の保有する個人情報の保護に関する法律(平成15年法律第58号。以下「行政機関個人情報保護法」という。)を適切に運用するため、同法の運用の統一性、法適合性を確保する立場にある総務省は、「行政機関の保有する個人情報の適切な管理のための措置に関する指針」(平成16年9月14日総務省行政管理局長通知)を策定し、個人情報の漏えい等の事案の発生を踏まえた必要な改正を行い、個人情報の適切な管理を徹底してきたところであり、引き続き、各行政機関及び国民に対して、パンフレットの配布や説明会の実施等を行い同法の周知を図るとともに、施行状況の概要の公表等国民に対する情報提供を行い制度の運用の透明性を確保する。

また、各行政機関は、総務省が策定する指針等を参考に、その保有する個人情報の取扱いの実情に即した個人情報の適切な管理に関する定め等の整備を行っているところであるが、引き続き、①職員への教育研修、②適切な情報セキュリティシステムの整備、③管理体制や国民に対する相談等窓口の整備、④個人情報の適切な管理を図るために講ずる措置等に関する情報の提供を行う。

なお、国の行政機関における個人情報の提供については、行政機関個人情報保護法上、必要性が認められる場合は、個人情報の公表等は可能となっており、情報提供の意義を踏まえた上で、同法の適切な運用を図るものとする。

国の行政機関が作成、提供する行政機関非識別加工情報については、個人情報の適正かつ効果的な活用が新たな産業の創出等に資するものであることを踏まえつつ、個人の権利利益を保護するため、行政機関個人情報保護法の適切な運用を図るものとする。

 

(2) 事業者の保有する個人情報の保護の推進

① 個人情報の保護の推進に関する施策

事業者の保有する個人情報又は匿名加工情報(以下「個人情報等」という。)について、個人情報等の性質や利用方法等の実態に応じた適正な取扱いの実効性を確保するためには、法の定めるルールが各分野に共通する必要最小限のものであることを踏まえ、認定個人情報保護団体における個人情報保護指針の策定等及びこれを踏まえた事業者の自主的な取組が進められることが、なお一層期待されるところである。

このため、個人情報保護委員会は、全ての事業等分野に共通して適用されるガイドラインを策定するとともに、認定個人情報保護団体が主体的に行う個人情報保護指針の策定等に対しても、情報の提供、助言等の支援を行うものとする。その際、特に小規模の事業者の事業活動が円滑に行われるよう配慮するとともに、法第1条の趣旨を踏まえ、個人情報の保護と適正かつ効果的な活用のバランスを考慮した取組を行うものとする。

② 個別の事案への対応

大規模な漏えい等個別の事案が発生した場合、個人情報保護委員会は、個人情報等の適正な取扱いを確保するため、必要な情報の収集に努めるとともに、当該個別の事案の被害の広がりや社会的な影響を踏まえ、迅速に法第4章の規定に基づく措置等の検討を行う。

また、個人情報保護委員会は、事業者に対する勧告又は命令を効果的に行う上で必要があると認めるときは、事業所管大臣に対して報告徴収又は立入検査の権限を委任することができることとされており、必要に応じて、権限を委任することを含め、事業所管大臣と連携した対応を行うものとする。

さらに、法第80条の趣旨を踏まえ、個人情報保護委員会及び事業所管大臣は、権限の委任の有無にかかわらず、法違反が疑われる事実を把握した場合や、権限を行使して事案に対処した場合等には、相互に情報共有を行うとともに、個人情報保護委員会と事業所管大臣間で、複数の事業所管大臣に委任された権限を行使する際には事業所管大臣間で、重畳的な執行を回避すべく緊密な連携・調整を行うものとする。

③ 広報・啓発、情報提供等に関する方針

法は、個人情報等を利用する事業者に対して事業等の分野、利用の目的を問わず幅広く個人情報等の取扱いに関する義務を課すとともに、本人が開示、訂正、利用停止に係る請求権を行使できる等、事業者の個人情報等の取扱いに関与する仕組みを採っている。個人情報の有用性に配慮しつつ、個人の権利利益を保護することを目的とする法の考え方が正しく理解され、個人情報の保護及び適正かつ効果的な活用の実効性が確保されるためには、事業者及び国民に対して法制度の周知を徹底することが極めて重要である。

このため、個人情報保護委員会は、事業者及び国民に十分な情報提供が行われるよう、多様な媒体を用いて、広報・啓発に積極的に取り組むものとする。

また、各省庁においても、必要に応じて個人情報保護委員会に協力し、所管する分野における広報・啓発に取り組むものとする。

 

(3) 個人情報保護委員会の活動状況等の公表

個人情報保護委員会は、毎年、法第4章に基づく報告の徴収、助言等の規定の実施の状況のほか、苦情の処理等の取組状況、事業者における個人情報漏えい等事案の状況等について、必要に応じて関係機関の協力を得て、内容を取りまとめ、その概要を公表するものとする。

 

(4) 個人情報の保護及び円滑な流通を確保するための国際的な取組

1の(3)の国際的な協調の観点から、個人情報保護委員会において、個人情報の保護を図りつつ、国際的なデータ流通が円滑に行われるための環境を整備するため、国際的な協力の枠組みへの参加、各国執行当局との協力関係の構築等に積極的に取り組むものとする。

 

3 地方公共団体が講ずべき個人情報の保護のための措置に関する基本的な事項

(1) 地方公共団体の保有する個人情報の保護の推進

地方公共団体の保有する個人情報の保護については、法第11条第1項の趣旨を踏まえ、個人情報の保護に関する条例の制定又は見直しに取り組む必要がある。

条例の制定又は見直しに当たっては、法及び行政機関個人情報保護法等の内容を踏まえるとともに、特に、行政機関個人情報保護法を参考としつつ、個人情報の定義の明確化、要配慮個人情報の取扱い、非識別加工情報を提供するための仕組みの整備等の事項について留意することが求められる。

国は、地方公共団体における条例の制定又は見直しに向けた検討が行われる場合に、その円滑な検討に資するよう、必要な情報の提供を行うなど、地方公共団体に対して協力を行うものとする。

 

(2) 広報・啓発等住民・事業者等への支援

① 広報・啓発等住民・事業者等への支援の在り方

個人情報保護の推進において、住民・事業者に身近な行政を担う地方公共団体の役割は重要であり、法では、区域内の実情に応じて、住民・事業者への支援や苦情の処理のあっせん等に対して必要な措置を講ずるよう努めなければならないものとされている。

各地方公共団体においては、個人情報保護の理念や具体的な仕組み等を住民等へ周知するための積極的な広報活動に取り組むとともに、区域内の事業者等の主体的な取組を促進するため、事業者からの相談等に適切に対応することが求められる。

また、個人情報の取扱いに係る事業者と本人の間のルールについて、地方公共団体の取組は、区域の特性に応じた措置として重要であるが、その運用は、法及び個人情報保護委員会のガイドライン等との整合性に配慮する必要がある。また、地方公共団体がその実情に応じて講じようとする措置については、事業者等の活動が、全国等の広域にわたることがあり得ることを考慮し、他の地方公共団体との連携に留意するとともに、特に、事業者等に新たな義務を課すこととなる場合には、当該地方公共団体の区域の特性と条例・規則の内容等を十分説明し、理解を求めていくことが重要である。

② 地方公共団体の部局間の相互連携

地方公共団体は、法の施行に関し、自ら保有する個人情報の保護、その区域内の事業者等への支援、苦情の処理のあっせん等、さらには、法第77条及び個人情報の保護に関する法律施行令(平成15年政令第507号。以下「令」という。)第21条の規定により事業所管大臣又は金融庁長官(以下「事業所管大臣等」という。)に委任された権限を行使することまで、広範で多様な施策の実施が求められている。地方公共団体においては、こうした多様な施策は、個人情報の保護に関する条例の所管部局、住民からの苦情の相談を担う部局、各事業・事業者の振興・支援を担う部局等相当数の部局にまたがるものと見込まれるが、個人情報に関する住民の権利利益の保護の実効性を確保するためには、広範な施策が一体的・総合的に講じられるよう、関係部局が相互に十分な連携を図る必要がある。

また、事業者からの相談や住民からの苦情等の相談の利便性の観点から、連携体制の確保に併せて、関係部局間の役割分担と窓口を明らかにして、これを公表すること等により周知することが望まれる。

(3) 国・地方公共団体の連携の在り方

事業者に対する報告の徴収等の事業所管大臣等に委任された権限については、法第77条及び令第21条の定めるところにより、地方公共団体がその事務を処理することとされるものがあるが、他方、地方公共団体の区域をまたがって事業者が活動している場合等においては、地方公共団体が十分に事業者の事業活動を把握することが難しいことも考えられる。このため、地方公共団体と事業所管大臣等は、基本方針に基づく各窓口を活用し、十分な連携を図ることとし、地方公共団体は、事業所管大臣等に必要な情報の提供等の協力を求めるとともに、事業所管大臣等は、必要な場合には、令第21条第2項に基づき自ら権限を行使するものとする。

また、法制度についての広報・啓発、苦情の相談等の業務についても、住民や事業者等に混乱を生じさせないよう、国と地方公共団体が相協力することが重要であり、このため、個人情報保護委員会及び独立行政法人国民生活センターは、広報資料や苦情処理マニュアル等の情報の提供を図るとともに、各窓口の活用により個別の相談事例から得られる知見を蓄積し、その共有を図るものとする。

 

4 独立行政法人等が講ずべき個人情報の保護のための措置に関する基本的な事項

独立行政法人等が保有する個人情報の保護については、独立行政法人等の保有する個人情報の保護に関する法律(平成15年法律第59号。以下「独立行政法人等個人情報保護法」という。)を適切に運用するため、同法の運用の統一性、法適合性を確保する立場にある総務省は、「独立行政法人等の保有する個人情報の適切な管理のための措置に関する指針」(平成16年9月14日総務省行政管理局長通知)を策定し、個人情報の漏えい等の事案の発生を踏まえた必要な改正を行い、個人情報の適切な管理を徹底してきたところであり、引き続き、

各行政機関、独立行政法人等及び国民に対して、パンフレットの配布や説明会の実施等を行い同法の周知を図るとともに、施行状況の概要の公表等国民に対する情報提供を行い制度の運用の透明性を確保する。

また、各行政機関は、所管する独立行政法人等に対して、その業務運営における自主性に十分配慮しながら、必要な指導、助言、監督を行う。

独立行政法人等は、総務省が策定する指針等を参考に、その保有する個人情報の取扱いの実情に即した個人情報の適切な管理に関する定め等の整備を行っているところであるが、引き続き、①職員への教育研修、②適切な情報セキュリティシステムの整備、③管理体制や国民に対する相談等窓口の整備、④個人情報の適切な管理を図るために講ずる措置等に関する情報の提供を行う。

なお、独立行政法人等における個人情報の提供については、独立行政法人等個人情報保護法上、必要性が認められる場合は、個人情報の公表等は可能となっており、情報提供の意義を踏まえた上で、同法の適切な運用を図るものとする。

独立行政法人等が作成、提供する独立行政法人等非識別加工情報については、個人情報の適正かつ効果的な活用が新たな産業の創出等に資するものであることを踏まえつつ、個人の権利利益を保護するため、独立行政法人等個人情報保護法の適切な運用を図るものとする。

 

5 地方独立行政法人が講ずべき個人情報の保護のための措置に関する基本的な事項

地方独立行政法人における個人情報の保護について、地方公共団体は、法第11条第2項において、必要な措置をとることが求められている。これを踏まえ、各地方公共団体は、その設立に係る地方独立行政法人の性格及び業務内容に応じ、各団体が制定する個人情報保護条例において所要の規定を整備する等、適切な個人情報の保護措置が講じられるように取り組むことが求められる。

 

6 個人情報取扱事業者等が講ずべき個人情報の保護のための措置に関する基本的な事項

(1) 個人情報取扱事業者が取り扱う個人情報に関する事項

個人情報取扱事業者は、法の規定に従うほか、2の(2)の①の個人情報保護委員会のガイドライン、認定個人情報保護団体の個人情報保護指針等に則し、例えば、消費者の権利利益を一層保護する観点から、個人情報保護を推進する上での考え方や方針(いわゆる、プライバシーポリシー、プライバシーステートメント等)を対外的に明確化するなど、個人情報の保護及び適正かつ効果的な活用について主体的に取り組むことが期待されているところであり、体制の整備等に積極的に取り組んでいくことが求められている。その際、事業の規模及び性質、個人データの取扱状況等に応じて、各事業者において適切な取組が実施されることが重要である。

 

(2) 個人情報取扱事業者及び匿名加工情報取扱事業者が取り扱う匿名加工情報に関する事項

匿名加工情報に関する制度は、近年の情報通信技術の飛躍的な進展に対応したパーソナルデータの適正かつ効果的な活用を推進するために導入された制度であり、事業者において、この趣旨を踏まえた積極的な匿名加工情報の活用が期待される。その際、匿名加工情報の取扱いに関して消費者の安心感・信頼感を得られるよう、事業者において、法の規定に従うほか、個人情報保護委員会のガイドライン、認定個人情報保護団体の個人情報保護指針等に則し、自主的な取組を実施することが求められる。

 

(3) 認定個人情報保護団体に関する事項

① 認定個人情報保護団体に期待される役割

認定個人情報保護団体は、個人情報等の取扱いに関して、事業者自身による苦情処理の取組を補完し、問題の自主的、実際的な解決を図るとともに、個人情報の保護及び適正かつ効果的な活用を図るため、6の(3)の②にあるように、個人情報保護指針を策定し、それが公表されたときは、対象事業者に対して当該指針を遵守させるため必要な指導、勧告等の措置をとることが義務付けられている等、民間部門における主体的な取組を促進する上で、極めて重要な役割が求められている。

また、事業者の実態に応じた法の適切な運用等を推進するために、認定個人情報保護団体が、対象事業者の運用実態や課題等の情報を収集し、それを個人情報保護委員会と共有するといった役割も期待されるところであり、このような仕組みが十分に活用されることが必要である。

② 個人情報保護指針等の策定・見直し

個人情報等の取扱いに関する事業等分野別の取組においては、認定個人情報保護団体が策定する個人情報保護指針等に、各事業者の取組を促進する上での重要な役割が期待されている。このため、認定個人情報保護団体等においては、消費者の意見を代表する者その他の関係者の意見を聴いた上で、事業等分野の実情に応じた公正・透明な個人情報保護指針等の策定・見直しに努めていくことが望まれ、その際、法第1条の趣旨を踏まえ、個人情報の保護と適正かつ効果的な活用のバランスを考慮した取組が求められる。特に、匿名加工情報の作

成方法等に関しては、情報の種類・性質に応じた適切な取扱いを定める指針等を策定することが望まれる。

個人情報保護委員会においては、認定個人情報保護団体等のニーズに応じて、2の(2)の①により必要な支援を行うものとする。

 

7 個人情報の取扱いに関する苦情の円滑な処理に関する事項

個人情報等の利用・提供あるいは開示・不開示に関する本人の不平や不満は、訴訟等によるのではなく、事案の性質により、迅速性・経済性等の観点から、むしろ苦情処理の制度によって解決することが適当なものが多いと考えられる。法は、苦情処理による消費者の権利利益の保護の実効性を確保するため、事業者自身の取組により苦情を解決することを基本としつつ、認定個人情報保護団体、地方公共団体等が苦情の処理に関わる複層的な仕組みを採っている。この仕組みが円滑に機能するためには、これらの関係機関がそれぞれの役割分担に応じて適切に取り組むとともに、緊密な連携を確保することが必要である。

(1) 事業者自身による取組の在り方

法は、苦情処理について、まず、第一に事業者の責任において適切かつ迅速な処理に努めるべきことを明らかにしている。こうした責務を全うするため、事業者には、必要な体制整備として苦情受付窓口の設置、苦情処理手順の策定等が求められる。

 

(2) 認定個人情報保護団体の取組の在り方

認定個人情報保護団体の苦情処理は、各事業者が行う取組を補完し、消費者の利益を効率的・効果的に実現する重要な役割が期待される。

このため、認定個人情報保護団体は、本人その他の関係者からの様々な苦情に簡易・迅速に対応し、公正な第三者としての立場から消費者の期待に応えられるよう、人材の養成・確保を含む体制を整備することが求められる。

 

(3) 地方公共団体における取組の在り方

地方公共団体の担う苦情の処理のあっせん等は、当事者間で問題が解決されない場合等において、事業等分野を問わない苦情処理の仕組みとして、苦情の処理のあっせん、助言、指導、情報提供等の役割が求められている。

地方公共団体が苦情の処理のあっせん等に取り組むに当たっては、広く住民一般に分かりやすく、なじみやすい対応が求められる。その際、個人情報等に関する苦情の相当部分は、事業者が消費者の個人情報等を利用した結果として起こる消費生活上の苦情であると考えられること、相談者の立場からは、消費生活に関する苦情から個人情報等の問題だけを取り出して相談することは容易でなくまた不便であることから、既存の消費生活センターや消費者相談窓口等を個人情報等に関する苦情の窓口とし、これを軸に各事業・事業者の振興・支

援を担う部局等の関係部局が実効のある連携を確保する仕組みが、相談者の利便性等の観点から望まれる。

なお、地方公共団体において、条例等に基づき別の苦情窓口を定めている場合等、直ちに上記の仕組みにより難い場合においては、特に、窓口と関係部局の役割分担を明確化し、周知を図るとともに、消費生活センター等に寄せられる苦情の移送等の仕組みを十分に確保する必要がある。

 

(4) 国民生活センターにおける取組

各地方公共団体や認定個人情報保護団体等に寄せられる苦情が住民・事業者の混乱を招かず円滑に処理されるためには、消費生活センター等の相談員の個人情報等に関する専門知識の習得を進めるとともに、苦情相談機関等における知見の蓄積とその活用が重要である。

このため、国民生活センターは、自ら個人情報等に関する苦情相談に取り組むほか、消費生活センター等の苦情相談機関等と連携を図りつつ、研修等の実施による専門知識を有する相談員の育成、苦情処理に関するマニュアルの作成・配布等により、窓口対応の強化を支援する。また、こうした取組に当たっては、必要に応じて、認定個人情報保護団体等の協力を得ながら実施するとともに、認定個人情報保護団体等へのマニュアルの配布やその職員の研修等への参加を図るものとする。

また、国民生活センターは、個人情報等に関する苦情相談の事例を集約・分析し、対応事例集等の資料を作成すること等により、苦情相談機関等における個別の相談事例から得られる知見を蓄積し、その共有を図るものとする。

 

(5) 個人情報保護委員会における取組

個人情報保護委員会は、自ら個人情報等に関する苦情の申出についての必要なあっせんに取り組むほか、苦情相談機関等において適切かつ迅速に苦情処理を行うことができるよう、個人情報等に関する専門知識や対応事例集等を共有するとともに、苦情相談機関等から個別事案への対応について相談を受けた場合には、必要に応じて、助言・対応の協力等を行うものとする。

悪質な事業者に関しては、苦情相談機関等と連携して、情報収集を行うとともに、必要に応じて、個人情報保護委員会の対応等について情報を提供するものとする。

また、苦情相談機関等の窓口等に関する情報を収集・整理し、インターネットの活用等により公表する。

 

8 その他個人情報の保護に関する施策の推進に関する重要事項

個人情報保護委員会は、改正法附則第12条に基づき、個人情報の保護に関する国際的動向、情報通信技術の進展、それに伴う個人情報を活用した新たな産業の創出及び発展の状況等を勘案し、法の施行の状況について検討を加え、必要があると認めるときは、その結果に基づいて所要の措置を講ずるものとする。

 

施行日

第7条第3項:平成28年1月1日【平成27年法律第65号附則第1条第2号】

第7条第2項第6号:平成27年9月9日から2年以内【平成27年法律第65号附則第1条条文】