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【個人情報保護法第59条乃至第74条】個人情報保護委員会の組織 2017/01/02

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第8章 個人情報保護委員会(第59条~第74条、第78条、第79条):更新2016/9/17

 

1. 組織

 

 

 

(設置)

保護法第59条第1項

内閣府設置法第49条第3項の規定に基づいて、個人情報保護委員会(以下「委員会」という。)を置く。

保護法第59条第2項

委員会は、内閣総理大臣の所轄に属する。

 

(任務)

保護法第60条

委員会は、個人情報の適正かつ効果的な活用が新たな産業の創出並びに活力ある経済社会及び豊かな国民生活の実現に資するものであることその他の個人情報の有用性に配慮しつつ、個人の権利利益を保護するため、個人情報の適正な取扱いの確保を図ること(個人番号利用事務等実施者(行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律(以下「番号利用法」という。)第12条に規定する個人番号利用事務等実施者をいう。)に対する指導及び助言その他の措置を講ずることを含む。)を任務とする。

 

(所掌事務)

保護法第61条

委員会は、前条の任務を達成するため、次に掲げる事務をつかさどる。

① 基本方針の策定及び推進に関すること。

② 個人情報取扱事業者における個人情報の取扱い並びに個人情報取扱事業者及び匿名加工情報取扱事業者における匿名加工情報の取扱いに関する監督、行政機関の保有する個人情報の保護に関する法律第2条第1項に規定する行政機関における同条第9項に規定する行政機関非識別加工情報(同条第10項に規定する行政機関非識別加工情報ファイルを構成するものに限る。)の取扱いに関する監視、独立行政法人等における独立行政法人等の保有する個人情報の保護に関する法律第2条第9項に規定する独立行政法人等非識別加工情報(同条第10項に規定する独立行政法人等非識別加工情報ファイルを構成するものに限る。)の取扱いに関する監督並びに個人情報及び匿名加工情報の取扱いに関する苦情の申出についての必要なあっせん及びその処理を行う事業者への協力に関すること(第4号に掲げるものを除く。)。

③ 認定個人情報保護団体に関すること。

④ 特定個人情報(番号利用法第2条第8項に規定する特定個人情報をいう。第63条第4項において同じ。)の取扱いに関する監視又は監督並びに苦情の申出についての必要なあっせん及びその処理を行う事業者への協力に関すること。

⑤ 特定個人情報保護評価(番号利用法第27条第1項に規定する特定個人情報保護評価をいう。)に関すること。

⑥ 個人情報の保護及び適正かつ効果的な活用についての広報及び啓発に関すること。

⑦ 前各号に掲げる事務を行うために必要な調査及び研究に関すること。

⑧ 所掌事務に係る国際協力に関すること。

⑨ 前各号に掲げるもののほか、法律(法律に基づく命令を含む。)に基づき委員会に

属させられた事務

 

(職権行使の独立性)

保護法第62条

委員会の委員長及び委員は、独立してその職権を行う。

 

(組織等)

保護法第63条第1項

委員会は、委員長及び委員8人をもって組織する。

保護法第63条第2項

委員のうち4人は、非常勤とする。

保護法第63条第3項

委員長及び委員は、人格が高潔で識見の高い者のうちから、両議院の同意を得て、内閣総理大臣が任命する。

保護法第63条第4項

委員長及び委員には、個人情報の保護及び適正かつ効果的な活用に関する学識経験のある者、消費者の保護に関して十分な知識と経験を有する者、情報処理技術に関する学識経験のある者、特定個人情報が利用される行政分野に関する学識経験のある者、民間企業の実務に関して十分な知識と経験を有する者並びに連合組織(地方自治法第263条の3第1項の連合組織で同項の規定による届出をしたものをいう。)の推薦する者が含まれるものとする。

 

(任期等)

保護法第64条第1項

委員長及び委員の任期は、5年とする。ただし、補欠の委員長又は委員の任期は、前任者の残任期間とする。

保護法第64条第2項

委員長及び委員は、再任されることができる。

保護法第64条第3項

委員長及び委員の任期が満了したときは、当該委員長及び委員は、後任者が任命されるまで引き続きその職務を行うものとする。

保護法第64条第4項

委員長又は委員の任期が満了し、又は欠員を生じた場合において、国会の閉会又は衆議院の解散のために両議院の同意を得ることができないときは、内閣総理大臣は、前条第3項の規定にかかわらず、同項に定める資格を有する者のうちから、委員長又は委員を任命することができる。

保護法第64条第5項

前項の場合においては、任命後最初の国会において両議院の事後の承認を得なければならない。この場合において、両議院の事後の承認が得られないときは、内閣総理大臣は、直ちに、その委員長又は委員を罷免しなければならない。

 

(身分保障)

保護法第65条

委員長及び委員は、次の各号のいずれかに該当する場合を除いては、在任中、その意に反して罷免されることがない。

① 破産手続開始の決定を受けたとき。

② この法律又は番号利用法の規定に違反して刑に処せられたとき。

③ 禁錮以上の刑に処せられたとき。

④ 委員会により、心身の故障のため職務を執行することができないと認められたとき、又は職務上の義務違反その他委員長若しくは委員たるに適しない非行があると認められたとき。

 

(罷免)

保護法第66条

内閣総理大臣は、委員長又は委員が前条各号のいずれかに該当するときは、その委員長又は委員を罷免しなければならない。

 

(委員長)

保護法第67条第1項

委員長は、委員会の会務を総理し、委員会を代表する。

保護法第67条第2項

委員会は、あらかじめ常勤の委員のうちから、委員長に事故がある場合に委員長を代理する者を定めておかなければならない。

 

(会議)

保護法第68条第1項

委員会の会議は、委員長が招集する。

保護法第68条第2項

委員会は、委員長及び4人以上の委員の出席がなければ、会議を開き、議決をすることができない。

保護法第68条第3項

委員会の議事は、出席者の過半数でこれを決し、可否同数のときは、委員長の決するところによる。

保護法第68条第4項

第65条第4号の規定による認定をするには、前項の規定にかかわらず、本人を除く全員の一致がなければならない。

保護法第68条第5項

委員長に事故がある場合の第2項の規定の適用については、前条第2項に規定する委員長を代理する者は、委員長とみなす。

 

(専門委員)

保護法第69条第1項

委員会に、専門の事項を調査させるため、専門委員を置くことができる。

保護法第69条第2項

専門委員は、委員会の申出に基づいて内閣総理大臣が任命する。

保護法第69条第3項

専門委員は、当該専門の事項に関する調査が終了したときは、解任されるものとする。

保護法第69条第4項

専門委員は、非常勤とする。

 

(事務局)

保護法第70条第1項

委員会の事務を処理させるため、委員会に事務局を置く。

保護法第70条第2項

事務局に、事務局長その他の職員を置く。

保護法第70条第3項

事務局長は、委員長の命を受けて、局務を掌理する。

 

(政治運動等の禁止)

保護法第71条第1項

委員長及び委員は、在任中、政党その他の政治団体の役員となり、又は積極的に政治運動をしてはならない。

保護法第71条第2項

委員長及び常勤の委員は、在任中、内閣総理大臣の許可のある場合を除くほか、報酬を得て他の職務に従事し、又は営利事業を営み、その他金銭上の利益を目的とする業務を行ってはならない。

(秘密保持義務)

保護法第72条

委員長、委員、専門委員及び事務局の職員は、職務上知ることのできた秘密を漏らし、又は盗用してはならない。その職務を退いた後も、同様とする。

 

(給与)

保護法第73条

委員長及び委員の給与は、別に法律で定める。

 

(規則の制定)

保護法第74条

委員会は、その所掌事務について、法律若しくは政令を実施するため、又は法律若しくは政令の特別の委任に基づいて、個人情報保護委員会規則を制定することができる。

 

 平成27年法律第65号第1条により、特定個人情報保護委員会が個人情報保護委員会に改組されたことは既述の通りであるが、同時に番号利用法第36条乃至第49条に定める特定個人情報保護委員会の「組織」に関する規定(同法第6章第1節)、第56条(委員会による国会への報告)、第57条(規則の制定)、第72条(委員会職員による守秘義務違反に対する罰則)に関する規定の移設及び専門委員(保護法第69条)並びに委員会職員による国外における守秘義務違反に対する罰則(同法第86条)に関する規定の新設が行われた。

第三者機関の設置は、EUを中心とした諸外国で導入されている「プライバシー・コミッショナー制度」を踏襲している。委員会は、国家行政組織法第3条に基づき内閣府や省の外局として設置される庁と同格の行政組織(3条委員会)であり、政府の監督からは一定の独立を保っている。具体的には、個人情報保護法や番号利用法において、独自に規則を制定する権限や告示を発出する権限を持ち、国家意思の決定を行うことができる第三者機関であるとともに、個人情報取扱事業者や匿名加工情報取扱事業者を監督し、違法行為があれば、報告、立入検査、勧告、命令の権限も付与されている。新たに巨大な役所ができたと考えてよい。

 

委員会(【 】内は保護法)

内閣の所轄に属する内閣府外局の3条委員会【第59条】
委員長1人・委員8人(非常勤4人)の合議制【第63条第1項、第2項】
代表は委員長(会務の総理・会議の招集)【第67条第1項、第68条第1項】
議事は出席者の過半数による議決(可否同数時、委員長決済)【第68条第3項】
会議開催・議決は委員長及び4人以上の委員の出席が必要【第68条第2項】
専門委員の設置【第69条第1項】

イ 専門の事項を調査させることを目的とする【第69条第1項】

ロ 委員会の申出に基づき内閣総理大臣が任命する非常勤の職員【同法第69条第2項、第4項】

ハ 専門の事項に関する調査終了とともに解任される【第69条第3項】

事務局の設置【第70条第1項】

イ 委員会の事務を処理することを目的とする【第70条第1項】

ロ 事務局長その他の職員の配置【第70条第2項】

ハ 委員長が事務局長を任命【第70条第3項】

任務【第60条】

個人情報の適正かつ効果的な活用が次のものであることに配慮しつつ、個人の権利利益を保護するため、個人情報の適正な取扱いの確保を図ること(個人番号利用事務等実施者に対する指導及び助言その他の措置を講ずることを含む。)を任務とする。

イ 新たな産業の創出に資するものであること

ロ 活力ある経済社会の実現に資するものであること

ハ 豊かな国民生活の実現に資するものであること

ニ その他の個人情報の有用性

※ 組織令第1条の規定により事務局には総務課が置かれる

所掌事務【第61条】

イ 基本方針の策定及び推進に関すること。

ロ 個人情報及び匿名加工情報の取扱いに関する監督並びに苦情の申出についての必要なあっせん及びその処理を行う事業者への協力に関すること(ニを除く。)。

ハ 認定個人情報保護団体に関すること。

ニ 特定個人情報の取扱いに関する監視又は監督並びに苦情の申出についての必要なあっせん及びその処理を行う事業者への協力に関すること。

ホ 特定個人情報保護評価に関すること。

ヘ 個人情報の保護及び適正かつ効果的な活用に関する広報と啓発に関すること。

ト イからヘまでの事務を行うために必要な調査及び研究に関すること。

チ 所掌事務に係る国際協力

リ イからチまでのほか、法律(法律に基づく命令を含む。)に基づき委員会に属させられた事務(内閣総理大臣への意見具申、国会への報告など)

個人情報保護委員会規則の制定の権限【第74条】

※委員長の代理の定め

委員長に事故がある場合に備え、常勤委員の中からあらかじめ委員長の代理を定める必要がある【保護法第67条第2項】

表中④の委員長決済は、委員長の代理が委員長とみなされる【保護法第68条第5項】

委員長・委員(【 】内は保護法)

職権行使の独立性【第62条】
任期5年(補欠任期は前任者の残任期間)【第64条第1項】
再任可【第64条第2項】
両議院の同意を得て、内閣総理大臣が任命【第63条第3項】
人格が高潔で識見の高い者(保護法第63条第3項)の条件【第63条第4項】

委員長・委員には次のイからホまでの者などが含まれるものとする。

イ 個人情報の保護及び適正かつ効果的な活用に関する学識経験のある者

ロ 消費者の保護に関して十分な知識と経験を有する者

ハ 情報処理技術に関する学識経験のある者

ニ 特定個人情報が利用される行政分野に関する学識経験のある者

ホ 民間企業の実務に関して十分な知識と経験を有する者

ヘ 連合組織(地方自治法第263条の3第1項の連合組織で同項の規定による届出をしたものをいう。)の推薦する者

任期満了時、後任者が任命されるまで職務継続【第64条第3項】
政治運動の禁止【第71条第1項】
兼職禁止(委員長・常勤委員4人)【第71条第2項】

※ 内閣総理大臣の許可のある場合を除く

守秘義務【第72条】

※ 任期が満了し、又は欠員を生じた場合において、国会閉会又は衆議院解散のために両議院の同意を得ることができないときは、内閣総理大臣は、任命後最初の国会における両議院の事後の承認を条件として、⑤に定める資格を有する者のうちから、委員長又は委員を任命することができる。この場合において、両議院の事後の承認が得られないときは、内閣総理大臣は、直ちに、その委員長又は委員を罷免しなければならない。【保護法第64条第4項、第5項】

※ 委員長及び委員の給与は、特別職の職員の給与に関する法律で定められている。【保護法第73条、特別職の職員の給与に関する法律第1条第14号の2、第47号の2】

 

罷免【保護法第65条、第66条、第68条第4項】

内閣総理大臣は、委員長及び委員が、次の①から④までのいずれかに該当するときは、その委員長又は委員を罷免しなければならない。なお、委員長及び委員は、身分保障が担保されており、次の①から④までのいずれかに該当する場合を除き、在任中、その意に反して罷免されることがない。

破産手続開始の決定を受けたとき。
保護法又は番号利用法の規定に違反して刑に処せられたとき。
禁錮以上の刑に処せられたとき。
委員会により、心身の故障のため職務を執行することができないと認められたとき、又は職務上の義務違反その他委員長若しくは委員たるに適しない非行があると認められたとき(ただし、本人を除く全会一致を条件とする)。

 

施行日
① 第61条第2号及び第3号を除く規定:平成28年1月1日【平成27年法律第65号附則第1条第2号】
② 第61条第2号:平成28年5月27日から起算して1年6月を超えない範囲内において政令で定める日【平成28年法律第51号附則第1条】
③ 第61条第3号:平成29年5月30日【平成27年法律第65号附則第1条本文、平成28年政令第385号】
④ 第61条第5号(整備のみ):平成29年5月30日【平成27年法律第65号附則第1条第5号、平成28年政令第405号】