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【番号利用法】「特定個人情報」の使い分けについて【マイナンバー制度】 2015/05/06

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個人情報保護規程(マイナンバー法・ストレスチェック網羅版)
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専門家としてセミナー開催するような第三者認証機関やITベンダーや弁護士・税理士が、よく理解せずになんでもかんでも一括りして「マイナンバー」という用語を使用している。番号利用法における「個人番号」と「特定個人情報」の使い分けにはきちんとした理由がある。
第9条(利用範囲)と第12条(安全管理措置)では、敢えて「特定個人情報」とは明記せず「個人番号」と規定している。「特定個人情報」は個人情報保護法第2条第1項の定義による「個人情報」であり、生存する個人に関する情報に法定の義務を課している。他方、個人番号は「死者の個人番号」を要件としない。つまり、個人番号には利用制限と安全管理措置義務が課せられるが、提供・収集・保管制限は生じない。
だから第19条(提供制限)、第20条(保管等制限)は「特定個人情報」を使っている。
例えば、死亡の届出等により、死者の個人番号が必要になる場合には、当該死者の個人番号を知っている者が行政機関等の要求に従い、個人番号を提供することができる。提供を受ける側は取得・保管し、特定個人情報保護委員会ガイドラインに従い、かつ番号利用法の利用制限の規定に従い、必要な限度において個人番号を利用することができる。

特にモノを申したいのは「網からこぼれ落ちないように」と、血眼になって欲の皮をつっぱらかせている天下りの某第三者認証機関である。
高額なセミナー費をぼったくり、質の悪い講習は極めてたちが悪い。
この団体のホームページを見ると、今年に入ってから開催したセミナーのPPTが拾える。「マイナンバー収集開始は来年1月」という項目で数ページを割いていたが、今年の10月5日以後、通知カードで送られてくる個人番号の取得は可能とされている。
この点は内閣府の解釈もふらふらしていたので、特に突っ込むところではない(2月半ばに決定された)。
最も問題があるのは、社会保険の「標準報酬算定」で毎年全社員のマイナンバーを収集しなければならないなどと、息を吐くように大嘘をぶっこいている点である。
厚生労働省は昨年12月の前半、ホームページで社会保険の届出書類のサンプルを提供しており、様式を見れば、そのような大嘘は吐かないはず。
それに、重要なことを内閣府や厚生労働省に問い合わせもせず、勢いで講義するでしょうか。法律を扱う仕事をしている訳でもないし、かつ、社労士や税理士のように様式(実務)を知らない。結局2日10万円やそこらの高額なセミナーを根拠なく思い込みでやってるのです。
ケアレスミスなら突っ込まないが、この認識不足は致命的である。社会保険において全社員の個人番号を毎年定例で収集する届出はない。
利用頻度が稀少なマイナンバー制度なのに、安全管理措置を講じさせるために、嘘で不安を煽り、膨大なコスト負担を要求し、たくさんの企業に迷惑をかける行為である。
そもそも社労士等の士業でもない素人が専門家ぶって高額のフィーを貪る魂胆には辟易しています。