【個人情報保護法第2条第2項・令第1条・則第2条乃至第4条】個人識別符号 2017/01/03
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2. 個人識別符号
保護法第2条第2項この法律において「個人識別符号」とは、次の各号のいずれかに該当する文字、番号、記号その他の符号のうち、政令で定めるものをいう。
① 特定の個人の身体の一部の特徴を電子計算機の用に供するために変換した文字、番号、記号その他の符号であって、当該特定の個人を識別することができるもの ② 個人に提供される役務の利用若しくは個人に販売される商品の購入に関し割り当てられ、又は個人に発行されるカードその他の書類に記載され、若しくは電磁的方式により記録された文字、番号、記号その他の符号であって、その利用者若しくは購入者又は発行を受ける者ごとに異なるものとなるように割り当てられ、又は記載され、若しくは記録されることにより、特定の利用者若しくは購入者又は発行を受ける者を識別することができるもの |
背景
旧法第2条第1項の定義規定に関し、情報通信技術の進展も相俟って、法の規制対象とされる個人情報取扱事業者又は本人から「具体的にどのような情報が個人情報であるかが解釈に委ねられるところが大きい」として、その該当性判断を躊躇うという問題が指摘されていた。そこで個人識別符号の定義規定を設け、政令によって個人情報に該当するか否かを客観的に判断できるようにするとともに、保護対象の明確化を図ることにした。
なお、当初「パーソナルデータの利活用に関する制度改正に係る法律案の骨子(平成26年12月19日内閣官房IT総合戦略室パーソナルデータ関連制度担当室)」において想定されていた携帯電話番号やクレジットカード番号などは「一概に個人識別符号に該当するとは言えない(平成27年5月8日衆議院内閣委員会)」と結論づけられ、個人識別符号から外された。
個人識別符号【第2条第2項】
個人識別符号とは、第1号個人識別符号関係又は第2号個人識別符号関係に該当する文字、番号、記号その他の符号であって、当該特定の個人を識別することができるものをいう。
第1号個人識別符号関係(身体の一部の特徴をコンピュータ使用するために変換した符号)【令第1条第1号、則第2条、平成28年委員会告示第6号】
次に掲げる身体の特徴のいずれかを、特定の個人を識別することができる水準が確保されるよう、適切な範囲を適切な手法によってコンピュータ使用するために変換した文字、番号、記号その他の符号
① 細胞から採取されたデオキシリボ核酸(別名DNA)を構成する塩基の配列(DNA)
ゲノムデータ(細胞から採取されたデオキシリボ核酸(別名DNA)を構成する塩基の配列を文字列で表記したもの)のうち、全核ゲノムシークエンスデータ、全エクソームシークエンスデータ、全ゲノムSNPデータ、互いに独立な40箇所以上のSNPから構成されるシークエンスデータ、9座位以上の4塩基STR等の遺伝型情報により本人を認証することができるようにしたもの
② 顔の骨格及び皮膚の色並びに目、鼻、口その他の顔の部位の位置及び形状によって定まる容貌(顔)
顔の骨格及び皮膚の色並びに目、鼻、口その他の顔の部位の位置及び形状から抽出した特徴情報を、本人を認証することを目的とした装置やソフトウェアにより、本人を認証することができるようにしたもの
③ 虹彩(アイリス)の表面の起伏により形成される線状の模様(アイリス)
虹彩の表面の起伏により形成される線状の模様から、赤外光や可視光等を用い、抽出した特徴情報を、本人を認証することを目的とした装置やソフトウェアにより、本人を認証することができるようにしたもの
④ 発声の際の声帯の振動、声門の開閉並びに声道の形状及びその変化(声紋)
音声から抽出した発声の際の声帯の振動、声門の開閉並びに声道の形状及びその変化に関する特徴情報を、話者認識システム等本人を認証することを目的とした装置やソフトウェアにより、本人を認証することができるようにしたもの
⑤ 歩行の際の姿勢及び両腕の動作、歩幅その他の歩行の態様(歩容)
歩行の際の姿勢及び両腕の動作、歩幅その他の歩行の態様から抽出した特徴情報を、本人を認証することを目的とした装置やソフトウェアにより、本人を認証することができるようにしたもの
⑥ 手のひら又は手の甲若しくは指の皮下の静脈の分岐及び端点によって定まるその静脈の形状(手の平・手の甲・指の静脈)
手のひら又は手の甲若しくは指の皮下の静脈の分岐及び端点によって定まるその静脈の形状等から、赤外光や可視光等を用い抽出した特徴情報を、本人を認証することを目的とした装置やソフトウェアにより、本人を認証することができるようにしたもの
⑦ 指紋又は掌紋(指掌紋)
イ 指紋
指の表面の隆線等で形成された指紋から抽出した特徴情報を、本人を認証することを目的とした装置やソフトウェアにより、本人を認証することができるようにしたもの
ロ 掌紋
手のひらの表面の隆線や皺等で形成された掌紋から抽出した特徴情報を、本人を認証することを目的とした装置やソフトウェアにより、本人を認証することができるようにしたもの
⑧ 組合せ
①から⑦までに掲げるものから抽出した特徴情報を、組み合わせ、本人を認証することを目的とした装置やソフトウェアにより、本人を認証することができるようにしたもの
第2号個人識別符号関係(役務の利用や商品の購入、カード・書類の発行に関して対象者ごとに異なるように割り当てられた符号)【令第1条第2号乃至第8号、則第3条、第4条】
① |
旅券番号(日本国政府発行以外を含む) |
⑨ |
健康保険被保険者証・高齢受給者証の記号、番号、保険者番号 |
② |
基礎年金番号 |
⑩ |
船員保険被保険者証の記号、番号、保険者番号 |
③ |
運転免許証の番号 |
⑪ |
私立学校教職員共済組合の加入者証・加入者被扶養者証の加入者番号 |
④ |
住民票コード |
⑫ |
国家公務員共済組合の組合員証・組合員被扶養者証・船員組合員証・船員組合員被扶養者証の記号、番号、保険者番号 |
⑤ |
個人番号 |
⑬ |
地方公務員等共済組合の組合員証、組合員被扶養者証・高齢受給者証・船員組合員証及び船員組合員被扶養者証の記号、番号、保険者番号 |
⑥ |
国民健康保険被保険者証・高齢受給者証の記号、番号、保険者番号 |
⑭ |
雇用保険被保険者証の被保険者番号 |
⑦ |
後期高齢者被保険者証の番号、保険者番号 |
⑮ |
在留カードの番号 |
⑧ |
介護保険被保険者証の番号、保険者番号 |
⑯ |
特別永住者証明書の番号 |
平成27年法律第65号施行日
平成29年5月30日【平成27年法律第65号附則第1条本文、平成28年政令第385号】