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【労働基準法第38条の3】テレワークと専門業務型裁量労働制について【ワークライフバランス】 2014/10/20

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共著『入門 マイナンバーの落とし穴ー日本一わかりやすい解説』(毎日新聞出版)=10,000部
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『週刊エコノミスト 2018年7月17日号』(毎日新聞出版)2018年7月9日発売「特集:変わる!労働法」最大枠2テーマ3頁寄稿

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講演

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東京都知事小池百合子さんにテレビで紹介されました!

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最近、テレワークを既に導入している企業関係者の方々と話す機会が増えてきていますが、よく耳にするのが「みなし労働を取り入れている」「専門業務型裁量労働制を取り入れている」とのコメントです。

制度の中身を確認すると、深夜業及び休日の取り扱いや、プロジェクトチームの管理下に置かれているケース等、使用者の都合のよい解釈で運用されているケースが散見されます。

そこで本日は、「専門業務型裁量労働制」の法制度及び留意点について触れてみたいと思います。

 

【法律】

以下、1と2に労働基準法第38条の3「専門業務型裁量労働制」関連(法令・施行規則・厚労省告示・通達等)をまとめてみました。

 

1.使用者が労使協定により、次に掲げる事項を定めた場合において、労働者を①に掲げる業務に就かせたときは、当該労働者は、②に掲げる時間労働したものとみなす。

 

①業務の性質上その遂行の方法を大幅に当該業務に従事する労働者の裁量に委ねる必要があるため、当該業務の遂行の手段及び時間配分の決定等に関し使用者が具体的な指示をすることが困難なものとして厚生労働省令で定める業務のうち、労働者に就かせることとする業務(以下「対象業務」という。)

 

「厚生労働省令で定める業務」とは、

・新商品若しくは新技術の研究開発又は人文科学若しくは自然科学に関する研究の業務

・情報処理システム(電子計算機を使用して行う情報処理を目的として複数の要素が組み合わされた体系であってプログラムの設計の基本となるものをいう。⑦において同じ。)の分析又は設計の業務

・新聞若しくは出版の事業における記事の取材若しくは編集の業務又は放送法第2条第4号に規定する放送番組若しくは有線ラジオ放送業務の運用の規正に関する法律第2条に規定する有線ラジオ放送若しくは有線テレビジョン放送法第2条第1項に規定する有線テレビジョン放送の放送番組(以下「放送番組」と総称する。)の制作のための取材若しくは編集の業務

・衣服、室内装飾、工業製品、広告等の新たなデザインの考案の業務

・放送番組、映画等の制作の事業におけるプロデューサー又はディレクターの業務

・広告、宣伝等における商品等の内容、特長等に係る文章の案の考案の業務(いわゆるコピーライターの業務)

・事業運営において情報処理システムを活用するための問題点の把握又はそれを活用するための方法に関する考案若しくは助言の業務(いわゆるシステムコンサルタントの業務)

・建築物内における照明器具、家具等の配置に関する考案、表現又は助言の業務(いわゆるインテリアコーディネーターの業務)

・ゲーム用ソフトウェアの創作の業務

・有価証券市場における相場等の動向又は有価証券の価値等の分析、評価又はこれに基づく投資に関する助言の業務(いわゆる証券アナリストの業務)

・金融工学等の知識を用いて行う金融商品の開発の業務

・学校教育法に規定する大学における教授研究の業務(主として研究に従事するものに限る。)

・公認会計士の業務

・弁護士の業務

・建築士(一級建築士、二級建築士及び木造建築士)の業務

・不動産鑑定士の業務

・弁理士の業務

・税理士の業務

・中小企業診断士の業務

 

②対象業務に従事する労働者の労働時間として算定される時間(1日当たりの労働時間)

 

③対象業務の遂行の手段及び時間配分の決定等に関し、当該対象業務に従事する労働者に対し使用者が具体的な指示をしないこと

 

④対象業務に従事する労働者の労働時間の状況に応じた当該労働者の健康及び福祉を確保するための措置を当該労使協定で定めるところにより使用者が講ずること

 

⑤対象業務に従事する労働者からの苦情の処理に関する措置を当該労使協定で定めるところにより使用者が講ずること

 

⑥労使協定(労働協約による場合を除き、労使委員会の決議及び労働時間等設定改善委員会の決議を含む。)の有効期間を定めること

 

⑦使用者は、次に掲げる事項に関する労働者ごとの記録を有効期間中及び満了後3年間保存すること。

 

・労働者の労働時間の状況並びに当該労働者の健康及び福祉を確保するための措置として講じた措置

・労働者からの苦情の処理に関する措置として講じた措置

 

2.使用者は、労使協定を所轄労働基準監督署に届け出なければならない。

 

【留意点】

次に、企業関係者との打ち合わせや会話の中で、専門業務型裁量労働制の解釈を取り違えていると思われる点につきまして、抜粋して、留意点としてまとめてみました。折角の制度導入も、法知識なく導入した結果、将来、労使トラブルになりかねません。

 

A.専門業務型裁量労働制は、厚生労働省令で定められた業務のほか、労使当事者間の労使協定に定めた任意の業務について採用できる訳ではありません(平成15.10.22厚労告354号、平成6.1.4基発1号、平成12.1.1基発1号)

 

B.専門業務裁量労働制は、就業規則にその旨を明記することにより労使協定の定めに代えることができません

 

C.労使協定により、業務の遂行の手段及び時間配分の決定等に関して具体的な指示をしないこととする旨及びその労働時間の算定については当該協定で定めるところによることとする旨を定めている場合であっても、プロジェクトチームを組んで、チーフの管理の下に業務遂行、時間配分が行われている労働者の労働時間の算定に当たっては、当該協定で定める時間労働したものとみなすことはできません(平成15.10.22厚労告354号、昭和63.3.14基発150号、平成12.1.1基発1号)

 

D.派遣労働者についても、専門業務型裁量労働制は適用されます(平成11.3.31基発168号)

 

E.専門業務型裁量労働制については、法定休日に労働させた場合及び深夜業をさせた場合は、割増賃金を支払う必要があります。労使協定に定めるべき時間は、1日当たりの労働時間であり、休憩、深夜業及び休日に関する規定の適用は排除されていません(平成12.1.1基発1号)

 

F.専門業務型裁量労働制に係る労使協定の有効期間については、不適切に制度が運用されることを防ぐため、3年以内とすることが望ましいとされています(平成15.10.22基発1022001号)

 

G.労使協定は、自動更新を規定しても差し支えありませんが、更新の都度届出が必要です(平成6.3.31基発181号)