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【個人情報保護法第40条乃至第43条】個人情報保護委員会の権限と当該権限の行使の制限 2015/04/06

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個人情報保護規程(マイナンバー法・ストレスチェック網羅版)
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第5章 監督(第40条~第46条、第77条)

 

1. 個人情報保護委員会の権限と当該権限の行使の制限

 

(報告及び立入検査

保護法第40条第1

個人情報保護委員会は、前2節及びこの節の規定の施行に必要な限度において、個人情報取扱事業者又は匿名加工情報取扱事業者(以下「個人情報取扱事業者等」という。)に対し、個人情報又は匿名加工情報(以下「個人情報等」という。)の取扱いに関し、必要な報告若しくは資料の提出を求め、又はその職員に、当該個人情報取扱事業者等の事務所その他必要な場所に立ち入らせ、個人情報等の取扱いに関し質問させ、若しくは帳簿書類その他の物件を検査させることができる。

保護法第40条第2

前項の規定により立入検査をする職員は、その身分を示す証明書を携帯し、関係人の請求があったときは、これを提示しなければならない。

保護法第40条第3

 第1項の規定による立入検査の権限は、犯罪捜査のために認められたものと解釈してはならない。

 

(指導及び助言

保護法第41

個人情報保護委員会は、前2節の規定の施行に必要な限度において、個人情報取扱事業者等に対し、個人情報等の取扱いに関し必要な指導及び助言をすることができる。

 

(勧告及び命令

保護法第42条第1

個人情報保護委員会は、個人情報取扱事業者が第16条から第18条まで、第20条から第22条まで、第23条(第4項を除く。)、第24条、第25条、第26条(第2項を除く。)、第27条、第28条(第1項を除く。)、第29条第2項若しくは第3項、第30条第2項、第4項若しくは第5項、第33条第2項若しくは第36条(第6項を除く。)の規定に違反した場合又は匿名加工情報取扱事業者が第37条若しくは第38条の規定に違反した場合において個人の権利利益を保護するため必要があると認めるときは、当該個人情報取扱事業者等に対し、当該違反行為の中止その他違反を是正するために必要な措置をとるべき旨を勧告することができる。

保護法第42条第2

個人情報保護委員会は、前項の規定による勧告を受けた個人情報取扱事業者等が正当な理由がなくてその勧告に係る措置をとらなかった場合において個人の重大な権利利益の侵害が切迫していると認めるときは、当該個人情報取扱事業者等に対し、その勧告に係る措置をとるべきことを命ずることができる。

保護法第42条第3

個人情報保護委員会は、前2項の規定にかかわらず、個人情報取扱事業者が第16条、第17条、第20条から第22条まで、第23条第1項、第24条若しくは第36条第1項、第2項若しくは第5項の規定に違反した場合又は匿名加工情報取扱事業者が第38条の規定に違反した場合において個人の重大な権利利益を害する事実があるため緊急に措置をとる必要があると認めるときは、当該個人情報取扱事業者等に対し、当該違反行為の中止その他違反を是正するために必要な措置をとるべきことを命ずることができる。

 

(個人情報保護委員会の権限の行使の制限

保護法第43条第1

個人情報保護委員会は、前3条の規定により個人情報取扱事業者等に対し報告若しくは資料の提出の要求、立入検査、指導、助言、勧告又は命令を行うに当たっては、表現の自由、学問の自由、信教の自由及び政治活動の自由を妨げてはならない。

保護法第43条第2

前項の規定の趣旨に照らし、個人情報保護委員会は、個人情報取扱事業者等が第76条第1項各号に掲げる者(それぞれ当該各号に定める目的で個人情報等を取り扱う場合に限る。)に対して個人情報等を提供する行為については、その権限を行使しないものとする。

 

平成27年法改正により、「行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律」(以下「番号利用法」という。)の監督機関である特定個人情報保護委員会が、同法附則第6条第2項の規定により、個人情報保護委員会に改組された。

個人情報及び匿名加工情報の取扱いに関する監督等の事務をつかさどる内閣府の外局である委員会には、現行の主務大臣の有する報告徴収、命令、認定個人情報保護団体の認定等の権限に加えて、立入検査の権限等が付与されることとなった。

番号利用法はもともと設計段階では、保護法から独立した法律ではなく、同法の一部として規定される予定であったが、行政機関間の連携などから、内閣府主導で、別に定められることになった。また、委員会の設置については、内閣府はその外局として新しい役所を作ることを予め構想していたとされる。

平成27年法改正により委員会に関する規定が保護法に移行された結果、番号利用法は改正前のときのような独り歩きしたイメージは弱まり、政府の当初の構想通り、保護法の規定の一部に治まった印象である。

 

個人情報保護委員会の権限

権限行使の対象となる行
第40条第1項 第15条乃至第46条の施行における個人情報等の取扱いについて ① 報告又は資料提出② 立入検査(個人情報等の取扱いに関する質問又は帳簿書類その他の物件の検査)
第41条 第15条乃至第39条の施行における個人情報等の取扱いについて 指導及び助言
第42条

第1項

個人情報取扱事業者による第16条乃至第18条、第20条乃至第22条、第23条(第4項を除く。)、第24条、第25条、第26条(第2項を除く。)、第27条、第28条(第1項を除く。)、第29条第2項、第3項、第30条第2項、第4項、第5項、第33条第2項、第36条(第6項を除く。)違反 違反行為の中止その他違反を是正するために必要な措置をとるべき旨の勧告
匿名加工情報取扱事業者による第37条、第38条違反
第42条

第2項

正当な理由がなくて勧告に係る措置をとらなかった場合 勧告に係る措置をとるべきことの命令
第42条

第3項

勧告又は勧告に係る措置命令の規定にもかかわらず、個人情報取扱事業者による第16条、第17条、第20条乃至第22条、第23条第1項、第24条、第36条第1項、第2項、第5項違反 違反行為の中止その他違反を是正するために必要な措置をとるべきことの命令
勧告又は勧告に係る措置命令の規定にもかかわらず、匿名加工情報取扱事業者による第38条違反

 

個人情報保護委員会の権限の行使の制限

制限対象となる行 制限事
第40条第1項 立入検査をする職員の義務 ① 身分証明書の携帯(関係人の請求に応じて提示しなければならない)② 犯罪捜査のために認められた権限であると解釈してはならない
第43条第1項 第40条第1項に基づく報告若しくは資料の提出の要求、立入検査、第42条に基づく指導及び助言、第43条第1項に基づく勧告又は命令の行使 表現の自由、学問の自由、信教の自由、政治活動の自由を妨げてはならない
第43条第2項 個人情報取扱事業者又は匿名加工情報取扱事業者が第15条乃至第58条の規定の適用を除外された第76条第1項各号に掲げる者(それぞれ当該各号に定める目的で個人情報等を取り扱う場合に限る。)に対して個人情報等を提供する行為 権限行使の対象から除外

 

 

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