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【労働基準法第26条】休業手当 2016/03/31

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5. 休業手当

(休業手当)

第26条

使用者の責に帰すべき事由による休業の場合においては、使用者は、休業期間中当該労働者に、その平均賃金の100分の60以上の手当を支払わなければならない。

 

問1

最高裁の判例によると、労働基準法第26条の「使用者の責に帰すべき事由」は、取引における一般原則たる過失責任主義とは異なる観点をも踏まえた概念というべきであって、民法第536条第2項の「債権者の責めに帰すべき事由」よりも広く、使用者側に起因する経営、管理上の障害を含むものと解するのが相当であるとされている。(H17-1E)

問2

労働基準法第26条の休業手当は、民法第536条第2項によって全額請求し得る賃金のうち、平均賃金の100分の60以上を保障しようとする趣旨のものであるから、労働協約、就業規則又は労働契約により休日と定められている日については、休業手当を支給する義務は生じない。(H18-2C)

 

問3

使用者の責に帰すべき事由による休業の場合に支払われる休業手当については、労働の対償として使用者が労働者に支払う賃金には該当せず、必ずしも労働基準法第24条で定める方法により支払う必要はない。(H13-4D)

 

問4

労働基準法第26条の規定に基づき、使用者が、その責めに帰すべき事由による休業の場合に支払わなければならない休業手当は、同法第11条の賃金と解される。したがって、同法第24条第2項が適用され、毎月1回以上、一定の期日を定めて支払わなければならない。(H19-2D)

 

問5

使用者は、その責めに帰すべき事由により労働者を休業させた場合には平均賃金に相当する休業手当を、不可抗力により休業させた場合には平均賃金の6割に相当する休業手当を、それぞれ支払わなければならない。(H3-3B)

 

問6

1日の所定労働時間の一部のみについて使用者の責に帰すべき事由による休業がなされた場合であっても、当該1日について平均賃金の100分の60以上に相当する金額が支払われなくてはならないから、現実に就労した時間に対して支払われる賃金が平均賃金の100分の60に相当する金額に満たない場合には、使用者はその差額を支払わなければならない。(H9-4E)

 

問7

労働者派遣中の労働者の休業手当について、労働基準法第26条の使用者の責に帰すべき事由があるかどうかの判断は、派遣元の使用者についてなされる。したがって、派遣先の事業場が天災地変等の不可抗力によって操業できないために、派遣されている労働者を当該派遣先の事業場で就業させることができない場合であっても、それが使用者の責に帰すべき事由に該当しないこととは必ずしもいえず、派遣元の使用者について、当該労働者を他の事業場に派遣する可能性等を含めて判断し、その責に帰すべき事由に該当しないかどうかを判断することとなる。(H18-2E)

 

問8

派遣中の労働者について、当該労働者派遣契約が派遣先の事業場の事情によって中途で解約された場合においても、労働基準法第26条の休業手当に関する規定の適用については、同条の「使用者の責に帰すべき事由」があるかどうかの判断は、派遣元の使用者についてなされる。(H13-4E)

 

問9

使用者は、円の急騰による輸出不振のため一時休業する場合には、労働者に労働基準法第26条の規定による休業手当を支払わなければならない。(S61-2B)

 

問10

労働安全衛生法第66条の規定による健康診断の結果に基づいて、使用者が、ある労働者について、私傷病のため、同法第66条の5第1項の定めるところに従い、健康診断実施後の措置として労働時間の短縮の措置を講じて労働させた場合には、使用者は、当該労働者に対し、労働の提供のなかった限度において賃金を支払わなくても差し支えない。(H15-3E)

 

解答

問1 ○ 法26条、昭和22.12.15基発502号、最二小昭和62.7.17(ノースウエスト航空事件)

同社の労働組合が羽田営業所で行ったストライキのため、沖縄および大阪営業所勤務の従業員の就労が不要になったとして会社が休業を命じ、その間の賃金をカットしたことが争われた事件。最高裁は、民法536条2項と労基法26条の使用者の帰責の範囲の関係については後者が前者よりも広いというこれまでの判例・通説の考え方にたちつつ、本件ストライキは組合自らの主体的判断とその責任に基づいて行われたものと見るべきで会社側に起因する事象ということはできないとして、賃金請求権並びに休業手当請求権を否定した。

問2 ○ 法26条、昭和24.3.22基収4077号

問3 × 法11条、法24条2項、法26条、昭和25.4.6基収207号、昭和63.3.14基発150号

使用者の責に帰すべき事由による休業の場合における休業手当については支払期日に関する明文の定めがないが、休業手当を賃金と解し法第24条第2項に基づく所定賃金支払日に支払うこととされている。

問4 ○ 法11条、法24条2項、法26条、昭和25.4.6基収207号、昭和63.3.14基発150号

問5 × 法26条、昭和23.7.12基発1031号

使用者の責に帰すべき事由による休業の場合においては、使用者は、休業期間中当該労働者に、その平均賃金の100分の60以上の手当を支払わなければならない。

この「使用者の責に帰すべき事由」は不可抗力によるもの(以下例示)を含めない。

① 天災事変等の不可抗力による休業

② 作業所閉鎖(ロックアウト)による休業(社会通念上正当と認められるものに限る)(昭和23.6.17基収1953号)

③ 代休付与命令による休憩又は休日(昭和23.6.16基収1935号)

④ 労働組合の争議行為により労働組合員以外の労働者が労働を提供し得なくなったことによる休業(昭和24.12.2基収3281号)

問6 ○ 法26条、昭和27.8.7基収3445号

休業手当を支払うべき休業は、必ずしも全1日の休業である必要はなく、1日のうち一部を休業した場合も含まれる。

問7 ○ 法26条、昭和61.6.6基発333号

問8 ○ 法26条、昭和61.6.6基発333号

問9 ○ 法26条、昭和23.6.11基収1998号

例えば、親会社から資材資金の供給を受けて事業を営む下請工場において、現下の経済情勢から親会社自体が経営難のため資材資金の獲得に支障を来し、下請工場が所要の供給を受けることができずしかも他よりの獲得もできないため休業した場合であっても、その休業は使用者の責に帰すべき休業に該当する。従って、使用者は、休業期間中、当該労働者に、その平均賃金の100分の60以上の手当を支払わなければならない。

問10 ○ 法26条、昭和23.10.21基発1529号、昭和63.3.14基発150号

ただし、使用者が健康診断の結果を無視して労働時間を不当に短縮若しくは休業させた場合には、休業手当を支払わなければならない場合の生ずることもある。