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長時間労働と使用者責任 2014/10/31

本日の慶應義塾大学労働経済学による産学連携プロジェクトは「こころの人事経済学:人間心理が職場・組織パフォーマンスに与える影響を検討する」をテーマに、社会心理学と労働経済学の観点から「職場における個人のこころの分析」について講義が行われました。

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その後のセミナー参加企業による、チーム4~6名に別れてのグループディスカッションのテーマは「労働者の長時間労働によるうつ病等のメンタルヘルス問題について、皆さんの企業に『こころの分析』を取り入れて解決する方法を考えて下さい」。

 

ディスカッションの中で、「長時間労働が原因で精神的に病んで会社を休業した人は、休業を明けて職場に戻ってきても、同じことの繰り返しになる。うちの会社には異動させるような別の職場もないし、合わなければ辞めてもらうしかない」という意見が飛び出し、1人が同調して2人の会話が進んで行く。

 

「寂しい人たちだなあ」と思いつつ、私は「御社には長時間労働が原因でうつ病で休業している社員がいるのですか?」と質問すると、その発言者から「います」と返答あり。

私から「休業の理由は業務上と業務外のどちらの理由で処理されていますか?今の話ぶりですと、業務上と会社が認めているのでは?」(労災認定されるかは別の話です)と、改めて聞いてみました。彼女は私の質問の意図を察したようで、口を塞ぎ、下を向いてしまいました。

 

「ブラック企業」「管理監督者の責任」「労働災害」について、初めて考えるきっかけになったと思います。

 

彼女の発言内容から、仕事量ばかりでなく、社風や職場環境(人間関係や同僚の理解等)にうつを発症する原因があるんだろうなあと想像しました。職場が戦々恐々としているのでしょうね。

将来、同様の事故が起こらないよう、打つべき手立てがあると思いました。

 

なお、業務外の理由による健康保険の医療費は労働者の自己負担3割ですが、労災の場合は全額労災保険で賄われます。