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【労働基準法第15条】労働条件の明示 2016/03/31

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3. 労働条件の明示

(労働条件の明示)

第15

使用者は、労働契約の締結に際し、労働者に対して賃金、労働時間その他の労働条件を明示しなければならない。この場合において、賃金及び労働時間に関する事項その他の厚生労働省令で定める事項については、厚生労働省令で定める方法により明示しなければならない。

第2項

前項の規定によつて明示された労働条件が事実と相違する場合においては、労働者は、即時に労働契約を解除することができる。

第3項

前項の場合、就業のために住居を変更した労働者が、契約解除の日から14日以内に帰郷する場合においては、使用者は、必要な旅費を負担しなければならない。

 

問1

使用者は、労働契約の締結に際し、労働者に対して賃金、労働時間その他の労働条件を明示しなければならないが、このうち賃金の決定、計算及び支払いの方法、時期等に関する事項については、書面の交付が必要である。(H4-7A)

 

問2

労働基準法第15条においては、使用者は、労働契約の締結に際し、労働者に対して、賃金及び労働時間に関する事項その他の厚生労働省令で定める事項については書面の交付により明示しなければならないこととされているが、労働時間については、始業及び終業の時刻、休憩時間、休日等のほか、残業(所定労働時間を超える労働)の有無についても、書面の交付により明示しなければならないこととされている。(H15-2A)

問3

使用者は、労働基準法第15条(労働条件の明示)の規定に基づき、労働契約の締結に際し、労働者に対して、「所定労働時間を超える労働の有無」及び「所定労働日以外の日の労働の有無」について、書面の交付により明示しなければならないこととされている。(H18-3C)

 

問4

使用者は、労働者を雇入れる際、賃金、労働時間等の労働条件を労働者に明示しなければならないが、そのうち賃金については書面の交付をしなければならない。(S61-1B)

 

問5

労働契約を締結する際、使用者は、労働条件のうち、賃金の決定、計算及び支払の方法並びに賃金の締切り及び支払の時期については書面を交付することにより明示しなければならない。(S62-5B)

 

問6

使用者は、労働契約の締結に際し、賃金の決定・計算及び支払の方法並びに賃金の締切及び支払の時期に関する事項については、労働者に対して、書面を交付しなければならない。(H1-2A)

 

問7

使用者は、労働契約の締結に際し、労働者に対して賃金、労働時間その他すべての労働条件を記載した文書を交付しなければならない。(H5-4A)

 

問8

労働契約の締結に際し、使用者は労働者に対して賃金、労働時間等の労働条件を明示する必要があるが、その際、就業場所や労働時間に関する事項はもとより、退職手当や賞与に関する事項も書面で明示する必要がある。(H11-2D)

 

問9

労働基準法第15条では、使用者は、労働契約の締結に際し、労働者に対して賃金、労働時間その他の労働条件を明示しなければならず、そのうち一定の事項については書面の交付により明示しなければならないとされているが、健康保険、厚生年金保険、労働者災害補償保険及び雇用保険の適用に関する事項もこの書面の交付により明示しなければならない事項に含まれている。(H14-2C)

 

問10

使用者は、労働契約の締結後14日以内に厚生労働省令で定める方法により労働者に対して賃金、労働時間その他の労働条件を明示しなければならない。(H10-2D改題)

 

問11

使用者は、労働契約の締結の際に、就業規則を労働者に交付しなければならない。(H6-7E)

 

問12

賃金や労働時間に関する事項について、労働契約締結時に書面により明示する必要があるが、その際、労働者に適用される部分を明確にして就業規則を労働契約の締結の際に交付することとしても差し支えない。(H11-2C)

 

問13

使用者は、労働契約の締結に際し、賃金に関する事項については、書面により明示しなければならないこととされているが、採用時に交付される辞令に就業規則に定める賃金等級が明示され、当該就業規則が労働者に周知されていれば、この書面による明示がなされていると解してよい。(H9-3B)

 

問14

労働契約の締結に際し、労働者に対して書面の交付により明示しなければならないこととされている賃金(退職手当及び一定の賃金を除く。)の決定及び計算に関する事項に係る書面の内容としては、当該事業場の就業規則を労働者に周知させる措置が講じられていれば、就業規則の規定と併せ当該事項が当該労働者について確定し得るものであればよく、例えば、当該労働者の採用時に交付される辞令であって当該就業規則に規定されている賃金等級が表示されたものでも差し支えないとされている。(H15-2C)

 

問15

労働契約の締結に際し書面を交付して明示すべき労働条件のうち、退職に関する事項については、退職の事由及び手続、解雇の事由等を明示しなければならないが、明示事項の内容が膨大なものとなる場合は、労働者の利便性をも考慮し、適用される就業規則の関係条項名を網羅的に示すことで足りる。(H12-2C)

 

問16

使用者は、労働契約の締結に際し、賃金に関する事項等一定の事項については書面により明示しなければならないこととされており、これは2箇月以内の期間を定めて使用される者についても同様である。(H9-3A改題)

 

問17

労働者派遣事業において、派遣元の使用者は、派遣労働者に対して労働基準法第15条による労働条件の明示を行わなければならない。(H1-2D)

 

問18

労働基準法第15条に基づいて明示すべき労働条件の範囲は、同法第1条「労働条件の原則」及び第2条「労働条件の決定」でいう労働条件の範囲とは異なる。(H16-1E)

 

問19

使用者が労働契約の締結に際し明示した労働条件が事実と相違する場合には、労働者は、即時に労働契約を解除することができる。(H5-4E)

 

問20

労働者Ⅹの雇入れに当たり、Ⅹは、事業主が使用している労働者Y等との折り合いの関係から、Y等の賃金引上げを要望し、事業主もその引上げを約したが、実際にはその引上げを行わなかった。この場合、Ⅹは、この約束が守られていないことを理由としては、労働基準法第15条第2項を根拠として自分自身の労働契約の即時解除をすることはできない。(H12-2D)

 

問21

労働者は、労働契約の締結の際に明示された賃金、労働時間等の労働条件が事実と相違する場合においては、労働基準法第15条第2項の規定に基づき、即時に労働契約を解除することができるが、この場合、就業のために住居を変更した労働者が、契約解除の日から14日以内に帰郷する場合においては、使用者は、必要な旅費を負担しなければならない。(なし)

 

解答

問1 ○ 法15条1項、則5条1項3号、2項、3項

使用者は、労働契約の締結に際し、次の労働条件を明示しなければならない(絶対的明示事項)。なお、昇給に関する事項を除き書面の交付が義務付けられている。

① 労働契約の期間に関する事項

② 期間の定めのある労働契約を更新する場合の基準に関する事項(期間の定めのある労働契約であって当該労働契約の期間の満了後に当該労働契約を更新する場合があるものの締結の場合に限る。)

③ 就業の場所及び従事すべき業務に関する事項

④ 始業及び終業の時刻、所定労働時間を超える労働の有無、休憩時間、休日、休暇並びに労働者を2組以上に分けて就業させる場合における就業時転換に関する事項

⑤ 賃金の決定、計算及び支払の方法、賃金の締切り及び支払の時期並びに昇給に関する事項

⑥ 退職に関する事項(解雇の事由を含む。)

問2 ○ 法15条1項、則5条1項2号、2項、3項

問3 × 法15条1項、則5条1項2号、2項、3項

「所定労働日以外の日の労働の有無」については、明示しなければならない労働条件には含まれていない。

問4 ○ 法15条1項、則5条1項3号、2項、3項

問5 ○ 法15条1項、則5条1項3号、2項、3項

問6 ○ 法15条1項、則5条1項3号、2項、3項

問7 × 法15条1項、則5条2項、3項

相対的明示事項(使用者が定めをしない場合においては明示する必要のない事項であって、書面による明示が義務付けられていない事項)は次のとおり。

① 退職手当の定めが適用される労働者の範囲、退職手当の決定、計算及び支払の方法並びに退職手当の支払の時期に関する事項

② 臨時に支払われる賃金(退職手当を除く。)、賞与及び精勤手当、勤続手当、奨励加給、能率手当並びに最低賃金額に関する事項

③ 労働者に負担させるべき食費、作業用品その他に関する事項

④ 安全及び衛生に関する事項

⑤ 職業訓練に関する事項

⑥ 災害補償及び業務外の傷病扶助に関する事項

⑦ 表彰及び制裁に関する事項

⑧ 休職に関する事項

問7 × 法15条1項、則5条1項4号の2、5号、2項、3項

退職手当や賞与に関する事項は相対的明示事項とされ、書面で明示する必要はない。

問8 × 法15条1項、則5条2項、3項

問9 × 法15条1項、則5条2項、3項

問10 × 法15条1項、則5条2項、3項

問11 × 法15条1項、平成11.1.29基発45号

問12 ○ 法15条1項、則5条1項2号、3号、2項、3項、昭和29.6.29基発355号、昭和63.3.14基発150号、平成11.1.29基発45号

問13 ○ 法15条1項、則5条1項3号、2項、3項、昭和51.9.28基発690号、昭和63.3.14基発150号、平成11.3.31基発168号

問14 ○ 法15条1項、則5条1項3号、2項、3項、昭和51.9.28基発690号、昭和63.3.14基発150号、平成11.3.31基発168号

問15 ○ 法15条1項、則5条1項4号、2項、 3項、平成15.10.22基発1022001号

問16 ○ 法15条1項、則5条2項、3項

問17 ○ 法15条1項、昭和61.6.6基発333号

問18 ○ 法1条、法2条1項、法15条1項、則5条1項、昭和23.6.16基収1365号、昭和63.3.14基発150号

問19 ○ 法15条2項

問20 ○ 法15条2項、昭和23.11.27基収3514号

法第15条第1項は、労働者が自己の労働条件の具体的内容を承知せずして雇入れられることのないよう使用者に対し労働条件を明示することを義務付けた規定であるから、設問の場合の労働条件は労働契約に伴う附帯条件ではあるが、同条第1項にいう「賃金、労働時間その他の労働条件」には該当しない。従ってこの場合同条第2項の規定は適用されない。

問21 ○ 法15条2項、3項

「必要な旅費」には、労働者本人のみならず、就業のため移転した家族の旅費をも含む。家族の範囲は、当該労働者により生計を維持している同居の親族(事実婚を含む。)をいう。(昭和22.9.13基収17号)