【労働基準法第17条】前借金相殺の禁止 2016/03/31
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【アルバム】社会保険労務士 松本祐徳 メディア実績(2013~)
著書『図解とQ&Aですっきりわかるマイナンバーのしくみ』(宝島社)=33,000部=トーハン調べ2015/11/4週間ベストセラー単行本ビジネス書6位
共著『入門 マイナンバーの落とし穴ー日本一わかりやすい解説』(毎日新聞出版)=10,000部
『週刊エコノミスト 2018年7月17日号』(毎日新聞出版)2018年7月9日発売「特集:変わる!労働法」最大枠2テーマ3頁寄稿
#週刊エコノミスト 7月17日号「変わる!労働法」では、社会保険労務士の松本祐徳氏が、残業代などの算定基礎に加えなくてよいと思いがちの #手当 の誤解を分かりやすく説明しています。 pic.twitter.com/D1ald91mop
— 週刊エコノミスト編集部 (@EconomistWeekly) 2018年7月9日
『週刊エコノミスト 2018年2月20日号』(毎日新聞出版)2018年2月13日発売「特集:みんなの労働法」最大枠2テーマ5頁寄稿
未払い賃金などの賃金債権の時効はこれまで2年でしたが、今後延長されるかもしれません。そうなれば請求金額は膨大に。会社の経営を直撃するかもしれません。https://t.co/G5uKKZ1sqH pic.twitter.com/V9mqUmuiVQ
— 週刊エコノミスト編集部 (@EconomistWeekly) 2018年2月15日
『週刊エコノミスト 2015年9月15日特大号』(毎日新聞出版)2015年9月7日発売「特集:マイナンバーがやって来る!」最大枠5頁寄稿
講演
東京都知事小池百合子さんにテレビで紹介されました!
(前借金相殺の禁止)
第17条 使用者は、前借金その他労働することを条件とする前貸の債権と賃金を相殺してはならない。 |
問1
前借金その他労働することを条件とする前貸の債権と賃金を相殺することは、いかなる場合にも許されない。(H3-2B)
問2
使用者は、前借金と賃金とを相殺してはならない。(H20-1D)
問3
使用者は、労働基準法第17条の規定により、前借金その他労働することを条件とする前貸の債権と賃金を相殺してはならないが、使用者が労働組合との労働協約の締結あるいは労働者からの申出に基づき、生活必需品の購入等のための生活資金を貸付け、その後この貸付金を賃金より分割控除する場合においても、その貸付の原因、期間、金額、金利の有無等を総合的に判断して労働することが条件となっていないことが極めて明白な場合には、同条の規定は適用されない。(なし)
問4
使用者が前借金その他労働をすることを条件とする前貸の債権と賃金を相殺することは労働基準法第17条において禁じられているので、例えば使用者からの住宅建設資金の貸付に対する返済金のように融資額及び返済額ともに相当高額に上り、その返済期間も相当長期間にわたるものについてはすべて、たとえ同法第24条第1項の規定に基づく賃金控除に係る労使協定がある場合であっても、賃金との相殺はできない。(H14-2E)
問5
事業主が育児休業期間中に社会保険料の被保険者負担分を立て替え、復職後に賃金から控除する制度は、著しい高金利が付される等により、当該貸付が労働することを条件としていると認められる場合を除いて、一般的には労働基準法第17条の前借金相殺の禁止規定には抵触しない。(H9-3C)
問6
最高裁の判例によれば、使用者が労働者に対して民法第709条の不法行為による損害賠償債権を有する場合においては、その事情にかかわらず、労働者の賃金債権に対して損害賠償債権をもって相殺することが許されるものとしている。(なし)
問7
労働者が使用者に対して支払う借金と解雇予告手当を相殺することはできない。(なし)
解答
問1 ○ 法17条、昭和22.9.13発基17号、昭和33.2.13基発90号
使用者は、前借金その他労働することを条件とする前貸の債権と賃金を相殺してはならない。この規定は、金銭貸借関係と労働関係とを完全に分離し金銭貸借関係に基づく身分的拘束関係の発生を防止するのがその趣旨であるから、労働者が使用者から人的信用に基づいて受ける金融、弁済期の繰上等で明らかに身分的拘束を伴わないものは、労働することを条件とする債権には含まれない。 問2 ○ 法17条 問3 ○ 法17条、昭和23.10.15基発1510号、昭和23.10.23基収2633号、昭和63.3.14基発150号 問4 × 法17条、昭和23.10.15基発1510号、昭和23.10.23基収2633号、昭和63.3.14基発150号、最二小平成2.11.26(日新製鋼事件) 貸付の原因が真に労働者の便宜のためのものであり、また労働者の申出に基づくものであること、貸付期間は必要を満たし得る範囲であり、貸付金額も1箇月の賃金又は退職金等の充当によって生活を脅威し得ない程度に返済し得るものであること等、総合的に判断して当該貸付金が身分的拘束を伴わないことが明らかなものについて、賃金と相殺することができるものと解される。 問5 ○ 法17条、平成3.12.20基発712号 設問のような取扱いをする場合には、法第24条第1項ただし書後段により労使協定が必要であることを条件とする。また、一定年限労働すれば、当該債務を免除する旨の取扱いも労働基準関係法上の問題を生じさせない。 問6 × 法17条、最二小昭和31.11.2(関西精機事件)、最大判昭和36.5.31(日本勧業経済会事件) 最高裁判例では、「賃金債権に対しては損害賠償権をもって相殺することは許されない」とされており、「使用者が労働者に対して不法行為による損害賠償権を有する場合においても、これを労働者の賃金債権と相殺することは許されない。」としている。 問7 ○ 法17条、法20条1項、昭和24.1.8基収54号 |