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【労働基準法第18条】強制貯金 2016/03/31

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6. 強制貯金

(強制貯金)

第18

使用者は、労働契約に附随して貯蓄の契約をさせ、又は貯蓄金を管理する契約をしてはならない。

第2項

使用者は、労働者の貯蓄金をその委託を受けて管理しようとする場合においては、当該事業場に、労働者の過半数で組織する労働組合があるときはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がないときは労働者の過半数を代表する者との書面による協定をし、これを行政官庁に届け出なければならない。

第3項

使用者は、労働者の貯蓄金をその委託を受けて管理する場合においては、貯蓄金の管理に関する規程を定め、これを労働者に周知させるため作業場に備え付ける等の措置をとらなければならない。

第4項

使用者は、労働者の貯蓄金をその委託を受けて管理する場合において、貯蓄金の管理が労働者の預金の受入であるときは、利子をつけなければならない。この場合において、その利子が、金融機関の受け入れる預金の利率を考慮して厚生労働省令で定める利率による利子を下るときは、その厚生労働省令で定める利率による利子をつけたものとみなす。

第5項

使用者は、労働者の貯蓄金をその委託を受けて管理する場合において、労働者がその返還を請求したときは、遅滞なく、これを返還しなければならない。

第6項

使用者が前項の規定に違反した場合において、当該貯蓄金の管理を継続することが労働者の利益を著しく害すると認められるときは、行政官庁は、使用者に対して、その必要な限度の範囲内で、当該貯蓄金の管理を中止すべきことを命ずることができる。

第7項

前項の規定により貯蓄金の管理を中止すべきことを命ぜられた使用者は、遅滞なく、その管理に係る貯蓄金を労働者に返還しなければならない。

 

問1

使用者は、当該事業場の労働者の過半数で組織する労働組合があるときはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がないときは労働者の過半数を代表する者との書面による協定をし、これを労働基準監督署長に届け出た場合には、労働契約に附随して貯蓄の契約をさせることができる。(H5-4D)

 

問2

いわゆる社内預金に係る労使協定において、貯蓄の自由及び貯蓄金返還請求の自由が保障されていれば、貯蓄の金額について、例えば「1回の貯蓄額は、賃金の10%とする」というように賃金に対する一定の比率で定めることは、差し支えない。(H9-3D)

 

問3

使用者が、労働者の貯蓄金をその委託を受けて管理しようとする場合において、貯蓄金の管理が労働者自らが金融機関に預け入れた預金についてその預金通帳を事業主が保管するものである場合には、当該事業場の労働者の過半数で組織する労働組合があるときはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がないときは労働者の過半数を代表する者との書面による協定に預金通帳の保全の方法に関する事項を定めなければならない。(H6-3C)

 

問4

使用者が、労働者の貯蓄金をその委託を受けて管理しようとする場合においては、当該事業場の労働者の過半数で組織する労働組合があるときはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がないときは労働者の過半数を代表する者との書面による協定を締結しなければならないが、当該協定を労働基準監督署長に届け出る必要はない。(H6-3A)

 

問5

労働基準法第18条第2項の規定により届け出た貯蓄金管理協定に基づき労働者の預金

の受入れ(社内預金)をする使用者は、毎年3月31日以前1年間の預金の管理状況を、

4月30日までに、所轄労働基準監督署長に報告しなければならない。(なし)

 

問6

使用者が、労働者の貯蓄金をその委託を受けて管理する場合においては、貯蓄金の管

理に関する規程を定め、これを労働基準監督署長に届け出なければならない。(H6-3D)

 

問7

使用者は、労働者の貯蓄金をその委託を受けて管理する場合において、貯蓄金の管理が労働者の預金の受入であるときは、利子をつなければならない。(H4-7C)

 

問8

使用者が労働者の委託を受けてその預金を受け入れる場合、当該預金の利率については、年利率の下限が厚生労働省令により定められており、それ以上の利率になるのであれば日歩によることもでき、また、上限も特に定められていない。(H10-2E)

 

問9

使用者が、労働者の貯蓄金をその委託を受けて管理する場合において、貯蓄金の管理が労働者の預金の受入であるときは、利子を付けなければならないが、当該利子の利率が年5厘を下回るときは、年5厘の利率の利子をつけたものとみなされる。(H6-3B改題)

 

問10

使用者が労働者の委託を受けて労働者の預金の受入れを行ういわゆる社内預金については、下限の利率が厚生労働省令で規定されており、平成21年4月においては、年5%となっている。(S62-5D改題)

 

問11

使用者が、労働者の貯蓄金をその委託を受けて管理する場合において、貯蓄金の管理に関する規程に違反し、当該貯蓄金の管理を継続することが労働者の利益を著しく害すると認められるときは、労働基準監督署長は、当該使用者に対して、その必要な限度の範囲で、当該貯蓄金の管理を中止すべきことを命ずることができる。(H6-3E)

 

問12

労働契約に附随して労働者に貯蓄の契約を行わせることは、強制貯蓄として禁止されるが、労働者の貯蓄金をその委託を受けて管理することは、規制なしに行うことができることとされている。(H3-2C)

 

解答

問1 × 法18条1項、2項

使用者は、労働契約に附随して貯蓄の契約をさせ、又は貯蓄金を管理する契約をしてはならない。これは、たとえ労働者の同意を得た場合であっても違反行為とされる。なお、設問の労使協定は、使用者が、労働者の貯蓄金をその委託を受けて管理しようとするときに締結すべきものである。

問2 ○ 法18条2項、昭和23.7.12基収2364号、昭和33.2.13基発90号

貯蓄金管理協定:貯蓄金の管理が社内預金であるとき(則第5条の2)

① 預金者の範囲

② 預金者1人当たりの預金額の限度

③ 預金の利率及び利子の計算方法

④ 預金の受入れ及び払い戻しの方法

⑤ 預金の保全の方法

問3 × 法18条2項、平成6.3.31基発181号

貯蓄金管理協定:貯蓄金の管理が通帳保管であるとき(昭和27.9.20基発675号、昭和63.3.14基発150号)

① 預金先の金融機関名及び預金の種類

② 通帳の保管方法

③ 預金の出入れの取次方法

法律上協定すべき事項に定めはないが、貯蓄金管理規程において規定する上記の事項を労使協定においても協定することとされている。

問4 × 法18条2項、則6条2項

使用者は、労働者の貯蓄金をその委託を受けて管理しようとする場合においては、その貯蓄金の管理が社内預金の場合であると通帳保管の場合であるとを問わず、労使協定を締結し、これを所轄労働基準監督署長に届け出なければならない。

問5 ○ 法18条2項、則57条3項

事業主(国及び地方公共団体を除く。)は、労働者の貯蓄金をその委託を受けて管理する場合において、貯蓄金の管理が労働者の預金の受入れであるときは、毎年3月31日における受入預金額について、同日後1年間を通ずる貯蓄金の保全措置を講じなければならない。(賃確法第3条)

問6 × 法18条3項、昭和27.9.20基発675号、昭和63.3.14基発150号

貯蓄金管理規程については、これを労働者に周知させるため作業場に備えつける等の措置をとることを使用者に義務づけているが、労働基準監督署長への届出義務はない。

貯蓄金管理規程に規定すべき事項については法律上定めはないが、社内預金か通帳保管かの区分及び労使協定で定める事項を中心に具体的な取扱い方法が定められることになる。

問7 ○ 法18条4項

使用者は、労働者の貯蓄金をその委託を受けて管理する場合において、貯蓄金の管理が労働者の預金の受入であるときは、利子をつけなければならない。この場合において、その利子が、金融機関の受け入れる預金の利率を考慮して厚生労働省令で定める利率による利子を下るときは、その厚生労働省令で定める利率による利子をつけたものとみなす。

問8 ○ 法18条4項、預金令4条、昭和37.7.4基収5743号、昭和63.3.14基発150号、平成13.1. 7厚労告30号

使用者は、労働者の貯蓄金をその委託を受けて管理する場合において、貯蓄金の管理が労働者の預金の受入であるときは、利子をつけなければならないが、この場合において、その利子が、年5厘の利率を下るときは、年5厘の利率で計算した利子をつけたものとみなすことにより、社内預金の場合の利率の最低保障率を規定している。

上限については、平成6年に市中金利が完全に自由化されたことと、賃確法によって保全措置が義務化されたことなどに伴い、指導はないことになった。

問9 ○ 法18条4項、預金令4条

問10 × 法18条4項、預金令4条

問11 × 法18条5項、6項、則6条の3、昭和27.9.20基発676号

労働者が貯蓄金の返還を請求したのに使用者が返還せず、貯蓄金の管理を継続することが労働者の利益を著しく害すると認められるときは、行政官庁は、使用者に対して、その必要な限度の範囲内で、当該貯蓄金の管理を中止すべきことを命ずることができるのであって、貯蓄金管理規程違反に対するものではない。

なお、当該中止命令の範囲は、返還請求をした労働者だけではなく、返還請求をしても返還されないおそれのある他の労働者も含まれるものとされており、「必要な限度の範囲内」とは、貯蓄金の管理を委託している労働者の全部又は一部について中止させるものであり、個々の労働者の貯蓄金の一部について管理を中止させるものではない。

問12 × 法18条

「規制なしに」が誤り。使用者が労働者の貯蓄金をその委託を受けて管理する場合には、労使協定の締結及び届出、貯蓄金管理規程の制定及び周知、利子の付与(社内預金の場合)、返還命令等の義務が課せられている。