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【労働基準法第20条】解雇の予告 2016/03/31

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2. 解雇の予告

(解雇の予告)

第20

使用者は、労働者を解雇しようとする場合においては、少くとも30日前にその予告をしなければならない。30日前に予告をしない使用者は、30日分以上の平均賃金を支払わなければならない。但し、天災事変その他やむを得ない事由のために事業の継続が不可能となつた場合又は労働者の責に帰すべき事由に基いて解雇する場合においては、この限りでない。

第2項

前項の予告の日数は、1日について平均賃金を支払つた場合においては、その日数を短縮することができる。

第3項

前条第2項の規定は、第1項但書の場合にこれを準用する。

 

問1

労働者の解雇に際して、40日前に解雇予告をした場合、その予告は労働者基準法第20条の解雇の予告には該当しない。(S63-1A)

 

問2

解雇予告期間の30日は労働日ではなく暦日で計算され、その間に休日や休業日があっても延長されないから、5月31日の終了をもって解雇の効力を発生させるためには遅くとも5月1日には解雇の予告をしなければならない。(H12-3C)

 

問3

使用者は、落雷による工場の焼失を理由として労働者を即時解雇しようとする場合には、解雇予告手当の支払いは必要とされず、かつ、労働基準監督署長の認定も必要とされていない。(S61-1D)

 

問4

天災事変のために事業の継続が不可能となった場合には、使用者は、30日前の予告又は30日分以上の平均賃金の支払をすることなく労働者を解雇することができるが、この場合には、その事由について所轄労働基準監督署長の認定を受ける必要はない。(H7-2A)

 

問5

使用者は、天災事変その他やむを得ない事由のために事業の継続が不可能となった場合には、所轄労働基準監督署長の認定を受けて、労働者を即時に解雇することができるが、従来からの取引先が休業状態となり、発注品がないために事業が金融難に陥った場合は、この 「やむを得ない事由」に該当する。(H8-1E)

 

問6

労働者の責に帰すべき事由がある場合には、使用者は、解雇予告手当を支払わずに直ちに解雇できる。(S62-1C)

 

問7

使用者は、労働者の責めに帰すべき事由について、労働基準監督署長の認定を受けた場合又は事業を廃止しようとする場合においては、30日前の予告又は30日分以上の平均賃金の支払をせずに当該労働者を解雇することができる。(H4-4D)

 

問8

労働基準法第20条第1項の即時解雇の場合における解雇の予告に代わる30日分以上の平均賃金の支払いは、解雇の申し渡しと同時に行うべきものである。(H12-3B)

 

問9

使用者が労働者を解雇しようとする場合において、解雇の意思表示は、当該労働者に対し、当該解雇の理由を記載した書面を交付することにより行われなければならない。(H15-4B)

 

問10

労働者によるある行為が、労働基準法第20条第1項但書の「労働者の責に帰すべき事由」に該当する場合において、使用者が、即時解雇の意思表示をし、当日同条第3項の規定に基づいて所轄労働基準監督署長に解雇予告除外認定の申請をして翌日その認定を受けたときは、その即時解雇の効力は、使用者が即時解雇の意思表示をした日に発生すると解されている。(H15-4C)

 

問11

労働基準法第20条第1項ただし書の事由に係る行政官庁の認定(以下「解雇予告除外認定」という。)は、原則として解雇の意思表示をなす前に受けるべきものではあるが、それは、同項ただし書に該当する事実があるか否かを確認する処分であって、認定されるべき事実がある場合には使用者は有効に即時解雇をなし得るものと解されるので、そのような事実がある場合には、即時解雇の意思表示をした後、解雇予告除外認定を得たときは、その解雇の効力は使用者が即時解雇の意思表示をした日に発生すると解されている。(H18-7E)

 

問12

最高裁判所の判例によると、使用者が労働基準法第20条所定の予告期間をおかず、又は予告手当の支払をしないで労働者に解雇の通知をした場合、その通知は即時解雇としては効力を生じないが、使用者が即時解雇を固執する趣旨でない限り、通知後同条所定の30日の期間を経過するか、又は通知の後に同条所定の予告手当の支払をしたときは、そのいずれかのときから解雇の効力を生ずるものと解すべきである、とされている。(H18-7A)

 

問13

使用者が労働基準法第20条所定の予告期間をおかず、又は解雇予告手当の支払をしないで労働者に解雇の意思表示をした場合には、その意思表示をどのように受け取るかは労働者の選択にまかされていると解するのが相当であるから、労働者は同条所定の解雇の予告がないとしてその無効を主張することができ、又は解雇の無効を主張しないで解雇予告手当の支払を請求することができるとするのが最高裁判所の判例である。(H19-4C)

 

問14

使用者が30日前に解雇予告はしたが、その期限到来後、解雇期日を延期することを本人に伝達し、そのまま使用した場合において、その者を解雇しようとするときは、改めて労働基準法第20条の解雇の予告等の手続を行わなければならない。(S63-1D)

 

問15

解雇の予告をうけた労働者であっても解雇予告期間中に他の使用者と雇用契約を結ぶことはできない。(S63-1E)

 

問16

事業場が赤字のために閉鎖して労働者を使用者の責任において他の事業場へ斡旋就職させた場合においては、当該労働者が任意に退職を申し出ない場合であっても、使用者は、解雇予告等の所定の手続きをしなくてもよい。(なし)

 

問17

ある労働者を解雇しようと思い、労働基準法第20条の規定に従って、5月1日に、30日前の予告を行った。しかし、その後になって思い直し、同月10日、当該労働者に対し、「考え直した結果、やはり辞めてほしくないので、このままわが社にいてくれないか。」と申し出てみたが、当該労働者は同意せず、それに応じなかった。その場合、当該予告期間を経過した日に、当該労働者は自己退職(任意退職)したこととなる。(H16-3D)

問18

使用者が行った解雇の予告の意思表示は、一般的には取り消すことができないが、労働者が具体的事情の下に自由な判断によって同意を与えた場合には、取り消すことができると解されている。(H12-3A)

 

問19

労働基準法第20条では、使用者は、労働者を解雇しようとする場合においては、少なくとも30日前の予告をしなければならないと規定しているが、労働者側からする任意退職についても、就業規則その他に別段の定めがない場合には、同条の趣旨に照らして、少なくとも30日前の予告が必要であると解されている。(H15-4A)

 

問20

地方公務員法第29条第1項の規定に基づく地方公務員の懲戒免職についても、解雇予告等の所定の手続きをとる必要があるものと解されている。(なし)

 

問21

契約期間1年の労働契約を締結して使用している満15歳未満の労働者を解雇する場合であっても、解雇事由が解雇予告除外認定事由でなければ、使用者は解雇予告を行うか又は解雇予告手当を支払う必要があるが、その際、親権者又は後見人の承諾が必要である。(H11-6A)

 

問22

労働基準法第56条に定める最低年齢違反の労働契約のもとに就労していた児童については、そもそも当該労働契約が無効であるので、当該児童を解雇するに当たっては、同法第20条の解雇予告に関する規定は適用されない。(H17-5D)

 

問23

労働者が労働組合の専従者であって、会社に在籍はしているが専従期間中は会社から賃金の支払を受けていない場合には、使用者が当該労働者を解雇するに当たって解雇の予告又は解雇予告手当の支払を行う必要はない。(H8-1C)

 

問24

労働基準法第20条に定める解雇予告手当は、解雇の意思表示に際して支払わなければ解雇の効力を生じないものと解されるから、一般には解雇予告手当については時効の問題は生じない。(なし)

 

問25

使用者は、労働者を解雇しようとする場合には、30日以上前に予告をしなければならず、30日分以上の平均賃金を支払うことによって30日以上前の予告に代えることはできない。(H2-2C)

 

問26

使用者は、10日分の平均賃金を支払えば、10日間短縮して解雇予告を行うことができる。

(H1-2E改題)

 

問27

使用者が労働者を解雇しようとする場合において、16日分の平均賃金を支払うときは、解雇しようとする日の14日前に解雇の予告をすれば足りる。(H6-1A)

 

問28

使用者は、ある労働者を5月31日をもって解雇するため、5月13日に解雇予告をする場合には、平均賃金の12日分の解雇予告手当を支払わなければならない。(H16-3E)

 

問29

使用者が労働者を解雇しようとする場合においては、労働基準法第20条第1項の規定により、少なくともその30日前にその予告をしなければならないが、その予告の日数は、1日について平均賃金を支払った場合においては、その日数を短縮することができる。例えば、8月27日をもって労働者を解雇しようとする場合において、8月14日に解雇の予告をしたときは、少なくとも平均賃金の17日分の解雇予告手当を支払わなければならない。(H18-7B)

 

問30

使用者が平均賃金の30日分の解雇予告手当を支払って労働者の解雇を行う意思表示をする場合には、解雇予告手当を支払った日数分を限度として当該解雇による労働契約の終了日を遡ることができる。例えば、5月1日に平均賃金の30日分の解雇予告手当を支払って労働者の解雇の意思表示をする場合には、当該解雇による労働契約の終了日をその年の4月1日にまで遡ることができる。(H13-2D)

 

問31

使用者が30日前に解雇の予告をし、それと同時に労働者に休業を命じ、予告期間中労働基準法第26条に規定する休業手当を支給した場合、その労働契約は予告期間の満了によって終了しない。(S63-1C)

 

問32

使用者が解雇予告をせずに即時解雇の通知をしたため、労働者がこれを誤信して予告期間中に休業して就職活動をした場合には、その即時解雇の通知が解雇予告として有効と認められるときであっても、使用者は、解雇が有効に成立するまでの期間について、休業手当を支払う必要はない。(H9-4D)

 

問33

産前産後の休業をしている期間及びその後30日間であっても、労働者の責に帰すべき事由がある場合には、原則として、その事由について労働基準監督署長の認定を受けた上で解雇することができる。(H5-2A)

 

問34

解雇予告を行った後、その予告期間満了前にその労働者が業務上負傷し療養のため休業を要する場合には、原則として、休業期間及びその後の30日間に予告期間が満了しても、満了日にその労働者を解雇することはできない。(H5-2B)

 

問35

使用者が、労働者を解雇しようとする日の30日前に解雇の予告をした場合に、当該労働者が解雇予告期間中に業務上負傷したときは、使用者は当該労働者を解雇することができなくなり、当初の解雇の予告は当然にその効力を失うので、使用者が当該労働者を解雇するためには、治癒の日以降に改めて解雇予告又は解雇予告手当の支払をしなければならない。(H8-1D)

 

問36

使用者が労働者を解雇しようとする日の30日前に解雇の予告をしたところ、当該労働者が、予告をした日から10日目に、業務上の負傷をし療養のため3日間休業したが、当該業務上の負傷による休業期間は当該解雇の予告期間の中に納まっているところから、当該解雇の効力は、当初の予告どおりの日に発生する。(H15-4E)

 

解答

問1 × 法20条1項、昭和24.6.18基発1926号

【解雇予告の原則】

使用者は、労働者を解雇しようとする場合においては、少くとも30日前にその予告をしなければならない。30日前に予告をしない使用者は、30日分以上の平均賃金を支払わなければならない。

【解雇予告の例外】

① 天災事変その他やむを得ない事由のために事業の継続が不可能となった場合

② 労働者の責に帰すべき事由に基いて解雇する場合

ただし、①又は②の事由について、行政官庁の認定を受けなければならない。

問2 ○ 法20条1項、民法140条

法20条に定める予告期間30日は、労働日ではなく暦日で計算されるので、その間に休日又は休業日があっても延長されない。

問3 × 法20条1項、3項、則7条、昭和63.3.14基発150号

問4 × 法20条1項、3項、則7条、昭和63.3.14基発150号

問5 × 法20条1項、3項、則7条、昭和63.3.14基発150号

問6 × 法20条1項、3項

問7 × 法20条1項、3項、則7条、昭和63.3.14基発150号

問8 ○ 法20条1項、昭和23.3.17基発464号

問9 × 法20条1項、民法540条

解雇の意思表示は、解雇の理由を記載した書面を交付することまで必要としているものではなく、口頭でも有効である(日付の特定は義務付けられているが、書面交付の定めはない)。

問10 ○ 法20条1項、3項、則7条、民法540条、昭和63.3.14基発150号

問11 ○ 法20条1項、3項、則7条、民法540条、昭和63.3.14基発150号

問12 ○ 法20条1項、昭和24.5.13基収1483号、最二小昭和35.3.11(細谷服装事件)、大阪地判平成10.3.23(関西フェルトファブリック事件)他。

条件付無効説。

問13 × 法20条1項、昭和24.5.13基収1483号、最二小昭和35.3.11(細谷服装事件)

設問にある、いわゆる選択権説も有力ではあるとされているが、最高裁はこの考えを採っておらず、いわゆる条件付無効説を採っている。ただし、比較的最近の裁判例の中にも、この考え方に立つものが存在する(セキレイ事件 東京地判平成4.1.21)。

問14 ○ 法20条1項、昭和24.6.18基発1926号

解雇予告期間満了後引き続き使用する場合には、通常同一条件にてさらに労働契約がなされたものとみなされるから、改めて法20条の規定にしたがって、解雇予告等の所定の手続をしなければならない。

問15 × 法20条1項、昭和25.9.21基収2824号、昭和33.2.13基発90号

解雇の予告を受けた労働者が解雇予告期間中に他の使用者と雇用契約を結ぶことはできるが、自ら契約を解除した場合を除き、予告期間満了までは従来の使用者のもとで勤務する義務がある。従って、解雇予告期間中に他の使用者と雇用契約を結ぶことはできる。

問16 × 法20条1項、昭和23.5.14基発769号

「当該労働者が任意に退職を申し出ない限り解雇翌告等の所定の手続きをしなければならない」ものとされている。

問17 × 法20条1項、昭和25.9.21基収2824号、昭和33.2.13基発90号

問18 ○ 法20条1項、昭和25.9.21基収2824号、昭和33.2.13基発90号

なお、解雇予告の意思表示の取消しに対して労働者の同意がないときには、予告期間の満了によって労働契約は当然に終了し、使用者による解雇であることに変わりはない(自己都合退職の扱いとはならない)。

問19 × 法20条、民法627条1項、昭和26.10.29基収4494号

労働者側からの任意退職についての予告期間は、労働基準法では特に規定されていないが、民法627条の規定により、雇用契約は2週間前に予告すれば解約することができる。

問20 ○ 法20条1項、昭和24.8.1基収2399号

問21 × 法20条1項、法56条、昭和23.10.18基収3102号

設問の後段「親権者又は後見人の承諾が必要である」とするのが誤り。

問22 × 法20条1項、法56条、昭和23.10.18基収3102号

設問の場合、使用者は、解雇予告手当を支払い即時解雇しなければならない。

労働基準法第56条の最低年齢の規定に違反して、無効な労働契約のもとに就労していた児童を解雇する場合であっても、事実上の労働関係が成立していると認められる限り、同法第20条の解雇予告の規定が導用され、解雇予告手当の支払を要する。

問23 × 法20条、昭和24.8.19基収1351号

問24 ○ 法20条1項、昭和24.1.8基収54号、東京地判平成4.1.21(セキレイ事件)

問25 × 法20条1項、2項

30日分以上の平均賃金を支払うことによって30日以上前の予告に代えることができるのではない。1日について平均賃金を支払った場合においては、予告の日数を短縮することができる。

問26 ○ 法20条2項

問27 ○ 法20条2項

問28 ○ 法20条2項

問29 ○ 法20条1項、2項

問30 × 法20条1項、2項

解雇予告手当は、1日について平均賃金を支払った場合においては、その日数分解雇予告期間を短縮できるものであり、設問のように、その支払日数分労働契約終了日を遡ることができるものではない。

問31 × 法20条1項、昭和24.12.27基収1224号

解雇予告と同時に休業を命じ、解雇予告期間中は平均賃金の60%の休業手当しか支払わなかった場合でも、30日前に予告がなされている限り、その労働契約は予告期間の満了によって終了する。

問32 × 法20条1項、昭和24.12.27基収1224号

使用者が解雇予告又は解雇予告手当の支払をせずに即時解雇の通知をしたため、労働者がこれを有効と誤信して休業して就職活動をした場合、その即時解雇の通知が解雇予告として有効と認められるときは、使用者は解雇が有効に成立する日までの期間(解雇予告期間)について、休業手当を支払わなければならない。

問33 × 法l9条1項、法20条1項、則7条、昭和26.6.25基収2609号

解雇制限期間中は、労働者の責に帰すべき事由があっても、解雇することはできない。

なお、解雇制限が解除されるのは、次の場合である。

① 使用者が、法第81条の規定によって打切補償を支払う場合

② 天災事変その他やむを得ない事由のために事業の継続が不可能となり、その事由について所轄労働基準監督署長の認定を受けた場合

問34 ○ 法19条1項、法20条1項、昭和24.11.11基収3806号

問35 × 法19条1項、法20条1項、昭和24.11.11基収3806号

問36 × 法19条1項、法20条1項、昭和24.11.11基収3806号

解雇予告期間中に業務上の負傷により療養のため休業した場合には、たとえ1日の休業でも法19条の解雇制限の規定が適用されることになるので、その休業期間及びその後30日は解雇することができない。